アートと経済社会を考える。AIやテクノロジーが感じられない価値観とは?

齋藤潤一、若佐慎一(右)


──経営者は、常に数字や資金繰りを考えているからか、理論や言語を超えたアートに惹かれる人も多いです。経済産業省のウェブサイトにも、「経済と文化がシンクロしている」と書かれていたり、日本社会においてビジネスとアートの関係性がより近くなってきたと感じていますが、若佐さんはどうお考えですか?

グローバル化の加速に伴い、ますます社会が多様化し不確定要素に溢れた時代のなかで、どう自分のパフォーマンスを上げていくか。こうした問いに対して、いわゆる「アート思考」や、アートを通した活動が問題解決をしていく手段として期待されているという点が1つあるのだと思っています。

そういった所から、いままでアートに触れる機会がなかった人が触れるようになり、少しずつ社会にアートが溶け込んできているのは本当に良い事だと思います。

しかし、まだまだ日本はまったくもってのアート後進国であるので、もっと近くなって溶け合って欲しいと思っています。

──NFTがアートの入り口になって、テクノロジーやAIでは伝わらない「情動」をたくさんの人に届けられるといいですね。若佐さんはNFTにもチャレンジしたいですか?



チャレンジしたいですね。自作のデジタル化も含めて、それをNFT化して自分自身の更なる拡張を実行したいです。今後は引き続きいままでの活動と加えて、一見美術とは関係無さそうな場所での関わりを増やせたらと思っています。

1つの場に留まって深掘りする事も大切なのですが、その場だけだとどうしても表現や活動の在り方が単調になり、限界がきます。人間は環境の産物とはよく言いますが、どういった場所に身を置くかで、作品内容も自ずと変わってくる。

代替不可能な自分にしかつくれない作品を生み出すためにも、新たな視座を獲得し続けられる新しい場所や関係性を積極的に作り続けて活動できたらと思っています。

表現したものを社会にどう届けるか


──日本の経済社会を語る上で欠かせない、地域経済という観点では、代替不可能なアート作品があれば、地方はさらに面白くなりますね。なぜNFTにチャレンジしたいと思うようになったのですか?

世界は流動的なので、移ろっている中で自分の在り方も変わっていくのは当然だと思うんです。常に動いている社会、もしくはこれからこうなるかもしれないという社会に対して、自分も変化しながら関わっていきたい、何かアクションしていきたいという思いがあります。
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文=齋藤潤一

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