「ロジャーコレクションの場合も、最初は『テニスのプレー中にハイパフォーマンスを出せるかどうか』という点にフォーカスして作られたシューズでした。それが非常に注目を集めたこともあって、マーケットにローンチしようとなり、結果的に一般の消費者にも人気が出たというわけです。
我々がコラボレーションしているアスリートたちとは、基本的に親しく良い関係性を築けていますので、今後もこのようなアプローチは続けていく考えです。つい先日行われた世界陸上でも、アスリートたちの声を取り入れて開発したスパイクを着用したヘレン・オビリ選手(ケニア)が女子10000メートルで銀メダルを獲得しました。また、今年4月のチューリッヒマラソンでスイス新記録(2時間6分38秒)を樹立したタデッセ・アブラハム選手もOnアスリートの1人です」(マーク)。
「クラウドノヴァ フォーム」。ランニングシューズの性能はそのまま、デザインをライフスタイル寄りに落とし込んだニューモデルだ
今後は陸上競技やマラソンのアスリートとの共同開発に、さらに注力していくとのこと。目標は2028年のロス五輪で、着用アスリートのメダルカウントでトップ3のブランドになることだという。
「今の日本ランニングシーンを見ると、厚底ソールにカーボンプレートを搭載したような、ハイパフォーマンスシューズの割合が徐々に増えていると感じます。
Onのラインナップの中でも、カーボンプレートを搭載した「クラウドブームエコー」や、ブランド史上最大のクッション性を持つ「クラウドモンスター」といったハイパフォーマンスシューズは、日本での人気が特に高い。よりハイテクで、スピードを出せるモデルの重要度は、今後一層高まると思います」(マーティン)
日本でも人気爆発中の「クラウドモンスター」
サステナビリティにコストメリットは考えない
テクノロジー、デザインに加えて、現在のOnを語る上で外せないのがサステナビリティだ。他のスポーツメーカーと同様、リサイクル素材の採用を積極的に行うと同時に、画期的な取り組みも始まっている。「サイクロン」という、シューズの「サブスク」だ。
現在展開されているのは、クラウドネオという1モデルのみ。10キロメートル程度の短いランニングやインターバルトレーニングに向くスピードモデルだが、完全循環型なので購入はできない。
サブスクでのみ着用できる「クラウドネオ」
「6カ月という一定期間所有して履き込んだら、それを送り返して再び新しいモノを受け取るという仕組みになっています。
我々のゴールは、できるだけ古い化石燃料ベースの素材は使わず、できるだけリサイクル素材を活用すること。サステナブルな代替品がない場合は、その要素を丸ごとなくすなど、製品づくりも日々アップデートさせています」(マーティン)