旅の概念が劇的に変化 いま「着地型観光」が人気のワケ

1200年以上前に朝廷に献上された歴史を持つ生産地でのお茶摘み体験


そのラインナップに、初めて「小さな遠出」と銘打った地元志向の旅が加わったのだ。その「兵庫の魅力発見周遊ツアー」は、計画当初は2021年春から1年程度の販売予定だった。

しかし、新しい顧客開拓のキッカケになったことに加え、ハイリピーターのお客様からも「こんなところがあるなんて知らなかった」「近くに住みながら、こんな素晴らしい文化財があることをはじめて知った」「兵庫県は広いので、今後も良い所をどんどん発信してほしい」などの嬉しい声が多数届いたことで、2022年以降も継続することになったという。

私もかれこれ2年ほど、ひょうご観光本部や神姫バスのメンバーと一緒にガッツリ兵庫県内全域をめぐっているが、実際1年目の終わりぐらいから、メンバーの顔つきが変わって来たのを実感した。

彼等は、兵庫県、もしくは関西エリアの出身者が多い。それまでは、地域の人々をいかに日本全国や海外への旅に連れて行くかがミッションだったが、自分の故郷の魅力を知ることともに、そこに故郷の人々を連れて行くという行為が、自分たちのアイデンティティの見直しにもつながっている。



最近、良い顔になってきたなと思う中堅メンバーが、若手メンバーに着地型観光の意味や意義を語っている姿を見ると、本当に嬉しくなる。観光の持つ力の行く末は、そんなところにも芽生え、つながっていくのだ。まだまだ苦しいことも多々あるが、未来は決して悪くないと、私も笑顔で発信しつづけていきたいと思う。

最後に「兵庫の魅力発見周遊ツアー」のパンフレットの表紙に書いてあるワンフレーズを紹介して終わりたい。

「地域×人×ゆい」…「旅」を通じて「人」に出会い「人」と縁を「結ぶ」

連載:サステナブルツーリズムへの歩み 〜岐阜から発信する未来の観光
過去記事はこちら>>

文=古田菜穂子 写真提供=丹波篠山観光協会

タグ:

連載

地域と観光が面白くなる新局面

ForbesBrandVoice

人気記事