ライフスタイル

2022.06.15 08:30

旅の概念が劇的に変化 いま「着地型観光」が人気のワケ

1200年以上前に朝廷に献上された歴史を持つ生産地でのお茶摘み体験


また、地域の魅力や価値は、地域の人では普段は当たり前に思われていることが多く、発見しづらい。だからこそ、外部の人間の目線で指摘し、気づいてもらう必要もある。感動するポイントも世代や人種の違いなどで多様となり、田園風景に感動する人たちや、地域の祭りを観るために大枚を費やす外国の人たちがいることなど、目線を変えるだけで気づけることは多々あるのだ。
advertisement

「兵庫の魅力発見周遊ツアー」がスタート


ひょうご観光本部と神姫バスのメンバーとともに、そのような形で観光コンテンツ造成事業を行うなかで起きたのが、2020年のコロナ禍だった。そして前述したように感染対策の一環としての三密回避や県外移動の自粛ムードが高まり、人々の旅のスタイルが劇的に変化した。つまり変わらざるを得なくなったのだ。

神姫バスも、それまで販売、運行していた高級なバス旅を実施できない状態が続いていた。そのとき、それだからこそ彼等は気づいたのだ。

「お客様に県をまたがずに旅行を楽しんでいただくにはどうしたらいいか」「実は知られていないだけで、兵庫県には他県にも劣らない個性的で面白い観光素材があるのではないか」「そうか、いま我々が取り組んでいる事業が、まさにそれじゃないか」ということで、取り組んできた地域コンテンツ造成事業の経験と、バス事業者ならではの強みを活かしての地域をめぐる着地型「兵庫の魅力発見周遊ツアー」という観光商品を、2021年春から企画、販売しはじめたのだ。
advertisement


(c)公益社団法人ひょうご観光本部

そのツアーの元となったのが、神姫バスが運営していた「真結(ゆい)」というオリジナルの高級バス旅行の商品だった。

「真結」のテーマは「上質な唯一無二の旅」。JR九州の観光列車「ななつぼし」と同じ工業デザイナーがデザインした豪華な専用ツアーバス「ゆいプリマ」に乗って、「専属ドライバー」による運転と「アテンダント」による最上級のおもてなしで、まるでリビングにいるような感覚で長期バス旅行を楽しむことができるという商品だった。
次ページ > 「小さな遠出」

文=古田菜穂子 写真提供=丹波篠山観光協会

タグ:

連載

地域と観光が面白くなる新局面

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事