──そのビジネスアイデアがIPA 独立行政法人 情報処理推進機構の「2020年度 未踏アドバンスト事業」に採択され、2020年6月に会社を設立しましたね。
松藤:私は大学で研究者になりたいと思っていたのですが、研究者として温暖化にアプローチする新たな原理を発見しても、社会実装される保証はないということに歯がゆさを感じていました。
大学で起業という選択肢を知り、社会実装するなら起業しかないな、と思うようになりました。
代表取締役CEOの松藤圭亮
吉岡: 松藤とはお互い同じビジョンを共有でき、スキルも補完し合える。この人と一緒だったら起業できるなと感じました。
松藤:吉岡はチームビルディングが得意で、私は技術力に強みがあるので、良いパートナーですね。
──Yanekaraのビジネスアイデアは、どのようにして生まれましたか。
松藤:Yanekaraのミッションは「地球に住み続ける」です。
日本では太陽光パネルを設置するために山を切り拓くという、環境保全と逆のことが起こっているケースもみられます。一方で屋根に目を向けると、太陽光パネルが設置されているのは日本の全世帯の10%以下とも言われています。
社名の「Yanekara(やねから)」には、遠くの山を切り拓くのではなく、まず私たちが暮らす「屋根から」エネルギーを自給するという想いを込めました。
吉岡:そして太陽光によるEV充電システム開発にたどり着き、「市場の大きさ」「いま攻めるべき市場か(タイミング)」「顧客が明確なペイン(課題)を持っているか」、という3つの条件に照らし合わせて、ブラッシュアップしてきました。
会社設立前から大手企業30社以上をまわり、顧客(法人)が抱えている課題のヒアリングを重ねてきました。事業の着想は、そうした現場での課題から生まれたもので、それらをプロダクトに反映させてきています。
──具体的にどのような課題がありましたか。
松藤:既存の充放電器は「一度に多くのEVを充放電できない」という課題です。
そこでYanekaraでは1基で最大4台のEVを充放電できる充放電器をつくり、「拡張性」を武器にしました。何基も設置する必要がないので、従来の充放電器より確実に導入コストが落とせます。
EV充放電試験の様子