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2022.05.27 07:30

宇宙に行くより地球に住み続けたい。「Yanekara」が仕掛けるエネルギー革命とは

「再生可能エネルギー100%の未来へ」を掲げるYanekaraの吉岡(左)と松藤


松藤:さらに災害時に使えるよう、既存の充電コンセントを設置しているほか、他社製品やEV以外のエネルギーリソースにも対応できるクラウドの開発も試みています。OSをアップデートできるスマートフォンのように、性能面でも拡張性を意識した充放電器をつくりました。
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ボックスの中にはコンセントも設置。災害時に直接電気を供給できる

吉岡: 私たちのビジョンに、「エネルギーテックでローカルを主役に」があります。

いままで電力会社から電気を買っていたローカルな地域で導入いただくと、屋根を起点にエネルギーを自給できる環境をつくることができます。
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そのような拠点が数万カ所できたらそれはすごく強靭なインフラになります。大規模にEVの蓄電池を制御することができれば、電力不足の時、つまり電力の価格が高くなる時期・時間に売電するといったことも可能になるんです。

──今後、商用化に向けて、どのような展開を考えていますか。

松藤:現在、吉岡と私が始めたプロジェクトが、学生や社会人も含めて30人ほどのチームの支えで進められています。本当にいいチームだなと思います。

皆、気候変動の当事者だという意識を強く持って、Yanekaraのミッションに共感して集まってくれています。そんな仲間と共につくっている事業なので、社会からも必要とされていると自信を持って取り組むことができています。

製品化においては安全面が最も重要となります。そこで、元自動車メーカーの方にアドバイザーとして入っていただき、感電や漏電など安全面を万全に整備しています。

吉岡:今後は実際のユーザーさんとともに、製品化を実現するための実証を行っていきます。特に自治体からは、環境省が提唱する「ゼロカーボン・ドライブ」の影響もあり、EVと再生可能エネルギーの自給に先駆けて取り組みたいという声もいただいています。共同での実証実験などを進めていく予定です。

──お二人の目標は。

松藤: 宇宙ビジネスを手がけるスタートアップも増え、今人々の意識は地球から宇宙に向いていると思います。でも、私たちの最終的な目標はそれとまったく違う方向。「地球に住み続ける」ということです。



吉岡:地球には限りある資源があって、それが自然の摂理でサイクルしています。本来、人間の活動は、その資源の循環する幅のなかで収まるべきです。

ところが、現在人間が消費している自然資源の量は、地球の約1.7~1.8個分とも言われます。将来世代の資源を先に借りて、食いつぶしているとも表現できます。

「二酸化炭素を減らすためにカーボンニュートラルを目指す」。これは大切なことですが、本当に重要なのは二酸化炭素を減らすだけでなくて、地球の限りある資源のサイクルの中に、自分たちの活動をフィットさせること。そういう生活のスタイル、経済のスタイルに変えていくことが、求められています。

我々の取り組みはそこに必要な技術のひとつだと考えているので、一日でも早く社会に実装できるよう、取り組んでいきたいと思います。

文=西崎圭一 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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