──侵攻が始まってから既に2カ月以上の歳月が流れていますが、現在ウクライナ国内ではどのような人道支援が緊急且つ最も必要とされているのでしょうか?
侵攻が始まって以来、数多くのウクライナ人たちは仕事を失い、着の身着のまま国を離れることを余儀なくされています。そうした状況の中、今は命を繋ぐための食料品、飲料水、子供たちのミルク、おむつ、洋服、薬品を含む衛生用品などが必要とされていて、私たちは国内に留まり、キーウ郊外で生活している住民のためにそうした必要物資を車で配送する作業に毎日追われています。
物資を運ぶ作業: ローマン・ヒューミニック提供
──日本を含める世界各国からこれから先さらにどのような支援が必要と考えているのでしょうか? さらに、日本からの支援について何か具体的な展開はあるのでしょうか?
ウクライナ国民は日本を含め、世界各国からの支援に心から感謝しています。現在ロシアが行っている侵略行為に立ち向かうためには、民主主義陣営がさらに協力してロシアの蛮行を止める以外には方法がないと思っています。
また、日本からの支援についてですが、非常に大きな進展がありました。というのも、約1カ月程前に「Ukraine Take Shelter」のプラットフォームを通してWCFジャパンのCindyさんと連絡がつき、日本国内及び、ポーランドのクラクフで事業展開している「ASAGAO有限会社」と僕たちの教会を結びつけてくれたんです。
「ASAGAO」はSNSを通して日本国内で1900万円以上の支援金を集め、その資金を基にポーランド国内からウクライナに向けて緊急支援物資を提供する活動を展開していると聞いています。
「WCFジャパン」を通して「ASAGAO」に繋がるまでは必要な物資がなかなか届かず、手元にある限られた教会及び、自己資金を使いながらできる範囲の支援をすることしかできませんでした。でも今は、必要な支援物資が徐々に手元に入ってくるようになり、それだけでも大変ありがたく思っています。
物資を運ぶ現場:ローマン・ヒューミニック提供
現在は牧師である父が所有する小さな車でキーウ近郊各地に支援物資を送り届けているのですが、最近は物資の他に道に横たわっている“死体”も車に載せて教会に連れ帰り、埋葬する作業もしなければなりません。
物理的にも精神的にも既にキャパシティーをオーバーしている中、何よりも緊急に必要なものは支援物資の他に“死体”も載せることが可能な車の入手なんです。
中古車の購入には3000ユーロ(約50万円)という資金が必要になりますが、そうした現場の苦しい事情を打ち明けたところ、「WCFジャパン」が資金調達のために日本国内で寄付金集めのチャリティー活動を始めてくれたんです。
そして2日前の電話では、近々ポーランドの現地法人「あさがお」がポーランドで調達するバンに支援物資を載せて、僕たちの教会まで届けることが可能になったという嬉しい報告を受けています。
死体を運ぶ現場:ローマン・ヒューミニック提供