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欧州

2025.02.03 16:00

ウクライナの「勝機」は防勢にあり 攻撃しかできぬロシアを逆手に取れ

Shutterstock.com

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ロシア西部クルスク州で1月31日、ウクライナ軍の第47独立機械化旅団と第92独立強襲旅団はドローン(無人機)や地雷、ミサイル、大砲を駆使して、自陣に対するロシア軍の襲撃(アサルト)に耐えただけでなく、その撃滅に成功した。樹林帯やその周辺には戦死したロシア兵の遺体が散乱した。

両精鋭旅団にとって重要な勝利だったが、一般に想像されるような危険性とはまた違う危険性も伴っていたのかもしれない。コスチャンティン(コンスタンチン)というウクライナの退役軍人によれば、ウクライナ軍の一部の指揮官には、防御で有効だった部隊は攻撃でも同じように有効だと考える危うい傾向があるらしい。

したがって、たとえば第92強襲旅団などの部隊がロシア軍の襲撃から陣地を守った場合、指揮官によっては、その部隊に対して、防御陣地から出て、開けた場所に集まり、ロシア軍の陣地に向かうよう命じたくなるのかもしれない。だが、攻撃は防御よりリスクが高く、戦死者を多く出しやすい。

第92強襲旅団などとともにクルスク州に投入されたウクライナ軍第95独立空挺強襲旅団も1月上旬、それを手痛い経験を通じて再確認している。同旅団の部隊は急に防御から攻撃に転じ、ウクライナ側が保持する突出部の北東の外れにあるベルディン村に向けて進撃した。しかし、露出した状態になっていたところをロシア軍のとっておきの光ファイバー制御ドローンで攻撃されて大きな損害を被り、不用意な攻撃は撃退される結果になった。

同様の経験を第92強襲旅団も一度ならずしている。コスチャンティンによれば、クルスク州で戦っている同旅団隷下の部隊は、樹林帯1つを制圧しようとして1個中隊全体を犠牲にするという「不毛な命令」が理由で、幹部らの更迭が3年で3回もあったという。1個中隊は普通、100人あまりの規模だ。

コスチャンティンの批判は、ロシアによる全面戦争が4年目に入ろうとするなか、ウクライナ軍が採っている一目瞭然の戦法への暗黙の支持が含まれている。補給線を確保した状態で各旅団が塹壕に陣取り、ドローンや砲兵の支援を受けながら、ロシア側に甚大な損害を与えることを繰り返す、という戦い方だ。ロシア側は一度の衝突で百人単位の死者・重傷者を出すこともある。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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