経済・社会

2022.05.11 17:00

毎朝キーウから届く、最後の「コーヒー写真」

E.Va / Shutterstock.com


──この戦争が始まってから様々な厳しい現実を通してあなたの人生観はどのように変わったと言えますか?
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その答えについて、私はここでバイブルの中にある「ヨハネによる福音書14;2」の下記の一説を引用したいと思います。

「私はあなた方に平安を残します。私はあなた方に私の平安を与えます。私があなた方に与えるのは世が与えるようなものとは異なります。あなた方は心を騒がせてはなりません。恐れてはなりません。(ヨハネの福音書14章27節)」

私は牧師の息子で、大学院に通いながら教会で子供たちに英語を教えていますが、この苦難のときを経験して自分の心がさらに神に近づいたような気持ちがしています。国民全体が困難に直面している今、どのように被害者たちと共に生きていくのか、どのように痛みを分かち合うことができるのかを日々模索しながら、できるかぎりの支援活動を続けていかなければならないと思っています。
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国内に残っているウクライナ人をはじめ、海外へ脱出し、現在様々な国で避難生活することを余儀なくされているウクライナ人たち全員が自国に戻り、一致団結して祖国ウクライナの再建のために力を注ぐ日が一日も早く訪れることを心から願い、その実現に向けて力の限りを尽くしていきたいと思っています。

──今回の侵攻により、たくさんの声なき動物たちも被害に遭っていると耳にしていますが、そうした動物たちに対しても、何か特別な支援をしているのでしょうか?

突然の国外への避難に際し、数多くの人たちは家族同然に飼っていたペットを一緒に連れて行くことができず、国内に残る隣人に自宅の鍵を渡してペットの食事の世話を頼んでいきました。

そうした動物たちの一部は、隣国ポーランドやルーマニアなどにある支援シェルターに運ばれて保護されています。でも取り残された数多くの動物たちはお腹を空かせて路上をさ迷っていて、街に残った住民やウクライナ兵士たちが餌をあげたり出来る限りの世話をしています。実は、私たちの教会でも飼い主を失った数頭の犬の面倒をみているんです。

──ウクライナに再び平安が訪れる日は必ずやってくるはずですが、今あなたが描く具体的な平和の姿について、お話ししていただけますか

一日も早く攻撃が止み、昔のように平和な生活が戻ってくることを願い、日々祈っています。離れ離れになった家族が祖国ウクライナで再び集い、子供たちが毎日学校に通う、そんなごく当たり前の生活を一日も早く取り戻したいと思います。

そのためには、破壊された数多くの街の再建が必要ですし、僕たちウクライナ国民は一致団結して祖国の復興のために身をささげる覚悟をしています。そして、何よりもまず今回占領された一部の地域をいつの日か取り戻すことも僕たち国民の義務であり、使命だと思っています。
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