経済・社会

2022.05.11 17:00

毎朝キーウから届く、最後の「コーヒー写真」

E.Va / Shutterstock.com


──任務中に危険を感じ、支援物資を乗せたまま引き返したりすることも度々あるということですが。
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ロシア兵が路上の角や茂みなど、どこに隠れているか分かりませんし、道端に横たわっている死体の下に地雷が埋められている危険性もあります。自分が行けないときには他のスタッフにお願いしなければならないこともあるのですが、あまりに危険過ぎて二度と行きたくないと言ってくる人たちもたくさんいるんです。

──今回の戦争に関して、学校や教会は子供たちにどのように伝えているのでしょうか?

もちろん、子供たちに真実を伝えるのはそんなに容易いことではありません。でも、彼らは日常生活の中で私たちの動きや様子を見ながら、大人が想像する以上に現実を理解していると思います。
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この戦争はいつか終わりますが、まだ幼い子供たちの心に残る深い傷はそんなに簡単に消えるものではありません。将来的にはこのロシア侵攻から被ったトラウマに対する国家的な対策が必要になってくると思います。

──数多くの人たちが一時的とは言え、安全のためにウクライナ国内を離れていますが、現在国内に残り、様々な厳しい状況の中支援活動を展開しているあなたにとって、これから先さらに闘い続けるためのウクライナ国民としての原動力とは何なのでしょうか?

国民全体としては、国家の存続、国境の警備のために闘うことは言うまでもありませんが、一人の国民としては、ただただ昔のような青空をみてみたい、幸福な日常生活を取り戻したいという強い思いが原動力となっているのではないかと思っています。

──ゼレンスキー大統領については「テレビの中で国の政策を面白おかしく批判するコメディアンが、ある日突然現職の大統領になってしまった」というような紹介をする世界のメディアも数多くある中、大統領に対するあなたの見解、さらに侵入以前と以後の大統領に対する思いに何か特別な変化はあるのでしょうか?

ゼレンスキー大統領は大学で法律を専攻し、大学卒業後は法曹界ではなく俳優・コメディアンの道を選び、その後、映画、テレビ、舞台演劇の制作会社を立ち上げています。彼は独創性に溢れた才能豊かなウクライナ第6代目大統領として「より良い国を建設するために何かを変えて欲しいと思っている若者」には絶大の人気を誇っているんです。

僕は元々個人的にゼレンスキー大統領を支持していましたが、侵攻が始まってから大統領を支援する思いは益々強くなっています。大統領は、常に国民と共に命を掛けて私たちの国「ウクライナ」を守り、出来るだけ早くこの戦争を終わらせるために世界からの支援を得ようと最大限の努力をしていると思っています。

──戦況が厳しい現在でも、テレビやラジオなどを通して大統領から定期的に国民にメッセージが送られてきているのでしょうか?

大統領および政府からはつぶさに日々の戦況報告や国民を鼓舞するメッセージが送られてきています。そうした官民一体のコミュニケーションが私たちに厳しい戦いに挑む勇気を与え、ウクライナ国民を一致団結させる原動力になっているのだと思います。
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