子供たちにウクライナ情勢と平和を教えるために必要なこと

2月28日、シドニー。母親と共に抗議デモに参加していた少年(James D. Morgan/Getty Images)

最近戦争をニュースをテレビやSNSで見る機会が増えてきました。父親との別れを惜しむ幼児、爆撃を受けて亡くなった妊婦と胎児‥自分が突然その状況に置かれたらと思うと胸が締め付けられます。

当たり前が当たり前で無くなる世界。それが戦争です。一方、私たちのメディア環境も大きく変わり、子どもたちの元にも否応無しに大量の情報や画像が届く時代。

現在のウクライナの状況をはじめ世界中の戦争の状況を目の当たりにしている子どもたちにどう「戦争」「平和」を教えていけば良いのか。母として、ジャーナリストとしてどう説明したのか。一番やってはいけないこととは? 我が家の平和教育をご紹介します。

国単位の悪者は作らない


まず、家庭での平和教育をするにあたって、最も重要視したのは将来差別をしない子どもに育てること。人種やジェンダーを越えた多様な時代を生き抜く現代の子どもたちだからこそ必要不可欠なマインドセットです。

差別をしない子を育てるために親は何ができるか?それは特定の国を悪者にした説明をしないこと。私が今回最もプライオリティを置いたのは戦争と平和という概念を教え、平和な国に生きている私たちが普通ではない国があるという事実を知ってもらうこと。歴史や国の政治スタンスは二の次です。

我が家は4歳と2歳なので、一番最初に「国」という概念を教えました。地球儀や地図を前にして、「ここが日本。アメリカは◯さんのパパが産まれた国。ロシアは◯先生が産まれた国」など色々な国があることを教えました。スポーツ選手や食べ物を使って説明しても良いと思います。

その後、こことここが戦っているとだけ説明。国単位の悪者を作らない教え方ができたのはジャーナリストとしての経験があったからこそ。前職ロイターでは「テロ」という言葉は、首脳や国連などの引用以外で使いません。テロやテロリストという言葉を避け、爆撃・同時多発攻撃と説明する背景には主観を取り除き中立性を保つジャーナリズムの根幹があります。

子どもに説明をする際は、自身の意見はひとまず置き、それ位の中立性を意識しました。例えば「こっちの国が侵略しているから悪い、こっちの国が可哀想」と説明をすれば前者の国の出身者に対して「悪い国から来た人」と差別をする子になってしまうかもしれません。どのような説明をしてもこれだけは死守して頂きたい点です。
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文=吉田まゆ

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