「ラグビーはまだ投資対象になっていない」 五郎丸歩、CRO初年度の自己評価


CROとしても、充実した時間を過ごしました。有り難いことに、昨シーズンは親会社のヤマハ発動機以外にも多くのスポンサーからご支援をいただきました。1年間のスポンサー料は3億円を超え、これはシーズン前の目標の2倍以上でした。理由は2つあると思います。

1つ目は「All for SHIZUOKA」のスローガンが示す、静岡全土に根を下ろす発想と施策です。サッカーなら清水エスパルス、ジュビロ磐田、藤枝MYFC、アスルクラロ沼津、とJリーグのチームは4つありますが、静岡全県はカバーしていません。そしてリーグワンに参加する静岡のプロクラブはレヴズだけ。応援しやすい雰囲気なのです。



2つ目は“ワールドカップ”です。日本代表チームが歴史的勝利を収めたアイルランド戦はレヴズのホームであるエコパスタジアム開催で、その試合を生で観戦された企業トップの方々も多い。ラグビーの魅力、可能性を知って、スポンサードして下さっているケースが多いのだと思います。

企業の皆さんには常々「我々しかできないことにチャレンジしたい」とお伝えしています。都心にいて、有名選手を獲って強くなっていくのはさほど難しくありません。しかしレヴズはリーグワンのディビジョン1で唯一、地方のクラブとして活動している。それは私たちの自負です。

まだ「投資の対象」になっていない


ただ、ラグビーはまだ「投資をしたい」という対象になっていないと感じています。今ホストゲームを8試合行っていますけれど、スポンサー企業から「8試合で露出はどのくらいか?」といった部分を求められていないのです。他方Bリーグには、ベンチャーがオーナー、スポンサーとして次々に入ってきています。それは「ビジネスとして成立する可能性が十二分にあるから」ですが、ラグビー界はそうなっていません。

咋シーズンはレヴズ以外にも「東芝ブレイブルーパス東京」が法人化をしました。7月には、チーム名に企業名を入れない「浦安D-Rocks」(旧・NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)が誕生しました。しかし他チームはまだ企業スポーツで、社内の一部署としてラグビー部を運営しています。


前例がないことに踏み込むのは、企業にとって難しい判断だろうと思います。

レブズはヤマハ発動機の完全子会社として、ラグビーを事業としてやっています。ヤマハ発動機の「どんどんチャレンジしなさい」という企業風土で子会社化できた私たちが、しっかりと収益を得ながら経営を回していければ、他チームもプロ化の道に踏み出しやすくなるでしょう。
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写真=BLUEREVS LTD. 編集=宇藤智子

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