経済・社会

2022.03.04 18:30

危機に瀕するウクライナ、ロシア 日本が保護すべき難民は?

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元現地職員の中には、乳幼児を抱える母親もいたが「子どもは連れていけない」と日本政府に言われ、退避を諦めた者もいるという。
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確かに来日した人たちには最低限の衣食住が政府から提供されてはいるが、当初は就労などができない短期間の滞在資格しか与えられず、自由な言動も制限されている。上記のグループを政府退避組と呼ぶとすると、そのリストから漏れた人々にはさらに厳しい条件が課されている。

現在のアフガニスタン情勢は非常に危険であるため、たしかに自衛隊や外務省職員が再度現地に行き、元現地職員の退避支援を試みるのは非現実的だ。しかし日本関連の元現地職員とその家族の中には、なんとか自力で周辺国に退避し、日本大使館に直接庇護を求めた者も多い。

にもかかわらず、そのような退避希望者には、
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1. 日本人か永住資格を持つ身元保証人が日本国内にいること
2. 身元保証人による経費支払い能力を銀行残高などで証明すること
3. 退避希望者全員のパスポートがあること
4. 日本との関係とそれによる迫害のリスクに関する供述書を提出すること
5. 日本国内での雇用先(ないしは大学などの受け入れ先)があらかじめ確保されていること

までが要求されている。さらに、来日後に難民申請しない・させないようにと事前に暗にくぎを刺された身元保証人までいるという。

これだけ厳しい受け入れ要件を課しているため、退避が許可されたのは500名足らず。

要するに、日本政府は日本関連組織の現地職員であったために差し迫った迫害のおそれがあるアフガニスタン人とその家族を見捨てているのである。

物理的・法律的には入国査証を簡単に発行できる状態にあるにもかかわらずだ。少なくとも昨年来のアフガニスタン退避における他の主要ドナーの方針と比べると、日本政府の対応の非人道性は際立つ。

「日本に裏切られた」


その証ともいえるだろうが、元日本関連組織現地職員であるアフガニスタン人の間では、

「日本にはほんと裏切られた」、「日本にはガッカリだ」、「将来的に日本がアフガニスタンに帰ってきても、もう日本と仕事はしない」、「日本関連組織じゃなくて、死にそうな時にはちゃんと助けてくれる他のまともな国の組織で働け」

という話になっているという。きわめて残念だが当然だろう。

暗い国会
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アフガニスタンのような事情を抱える国で活動を展開するうえでは、優秀で信頼できる現地職員は宝だ。海外勤務経験のある読者であれば、どの国でも優秀な現地職員の確保の重要性は痛感しているだろう。

アフガニスタン人でもロシア人でも、人は、差し迫った危機下で誰が手を差し伸べてくれたか、誰に見捨てられたか、よく覚えているものである。

誰に手を差し伸べることが日本人のモラルに恥じないのか、誰を保護し支援することが日本組織が海外で優秀な現地職員を確保することにつながるのか。どんな手を講じることが、中長期的な意味で日本の真の国益につながるか、先見性と戦略性をもって判断すべきでないだろうか。

文=橋本直子 編集=露原直人

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