ウクライナ問題で沈黙するインド、西側諸国はどう見るのか

Sanjeev Verma/Hindustan Times

ウクライナに侵攻したロシアの行動を、米国とその同盟国は強く非難している。一方、安全保障に関して西側諸国との結びつきを強めてきたインドは、ロシアの行動を非難することも、ウクライナの主権を支持することもせず、慎重な発言を続け、中立性を保とうとしている。

ウクライナ情勢について話し合うため、2月21日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合でも、インドのT・S・ティルムルティ国連大使は、問題解決のための「建設的な外交」を求めるにとどまり、ロシア政府を批判することは避けた。

このとき、ウラジーミル・プーチン大統領はすでに、ウクライナの分離独立派が支配してきた東部2地域の独立を承認。ロシア軍部隊の派遣を命令していた。

さらに、インドはこの会合でウクライナに関しては、これまで自国と中国の国境地域やインド太平洋地域の問題について頻繁に使ってきた「主権」「領土保全」といった言葉を使わなかった。これは、西側諸国をいら立たせる態度だったと考えられる。

また、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相は、19日にドイツで行われた(各国の代表が安全保障の課題について議論する)ミュンヘン安全保障会議で、インド太平洋地域における中国の問題と、欧州におけるロシアの問題は「類似したものではない」と主張。その後も仏紙ル・フィガロに対し、ウクライナの現在の状況は過去30年の「一連の出来事」の結果だと語るなど、綱渡り外交を続けている。

ウクライナ情勢を巡り、1月31日に開かれた国連の安全保障理事会では、この会合を非公開にするよう求めたロシアの提案に対して10カ国が反対票を投じるなか、インドと中国の2カ国だけが賛成していた。

ロシアは「特別な」パートナー


米シンクタンク、ブルッキングス研究所の上級研究員であるタンヴィ・マダンはツイッターへの投稿で、インドは軍事面でのロシアへの依存度が高く、それがウクライナ問題に対する態度に影響を及ぼしていると指摘する。
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編集=木内涼子

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