経済・社会

2022.03.04 18:30

危機に瀕するウクライナ、ロシア 日本が保護すべき難民は?

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各国がアフガン人を支援


ウクライナ避難民に対しては極めて寛容な姿勢を見せる日本だが、より切迫した救出義務があるのに実質的に見捨てている別の難民集団がいる。日本に協力したために命を狙われているアフガニスタン人だ。
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日本は過去20年、対アフガニスタンの国際協力で常にトップドナー5カ国に入ってきた。単に資金提供だけでなく「顔の見える国際協力」というスローガンの下、JICA(国際協力機構)や日本のNGOも現地で幅広く活動してきたため、多数のアフガニスタン人が日本組織の現地職員として雇用され、日本人の同僚として「日の丸」の下で働いていた。

こうした日本を含む外国関連団体で働いていたアフガニスタン人は、タリバンによって「背徳者」とみなされ、タリバンの行動規範(Layeha)において処刑することが定められているという。

タリバン
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実際、昨年8月にアフガニスタンがタリバンの手に堕ちることが明らかになったあたりから、各国が上記のアフガニスタン人とその家族の退避に全力を挙げてきた。
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例えばアメリカは、米国政府やその下請け業者、または米軍に1年以上勤務したアフガニスタン人とその家族を即時永住者として受け入れている。

また、上記の団体で1年以下の勤務、あるいは事業ベースの雇用やアメリカの民間団体に勤務した者とその家族には、当初2年間の滞在資格を認めたうえで、その間に他の在留資格に変更することとなっている。

もちろん厳しいセキュリティー・チェックや健康診断を受けた後での入国だが、すでに68000人を超えるアフガニスタン人がアメリカに到着したという。

彼らには米国人と同等の権利に加えて難民用の特別支援策が用意されている。

イギリスは、現在または過去に、英国政府関連機関に直接雇用されていた者とその家族は、業種と危険度に基づく優先順位を付けたうえで、入国後すぐに永住権が与えられている。雇用形態や雇用期間、現滞在国は不問だ。

昨年から8000人近いアフガニスタン人がイギリスに入国し、中央政府と自治体による手厚い保護と支援を受けている。

ドイツは、2013年以降にドイツ軍や大使館、開発機関で直接雇用されていた職員とその家族を雇用関係の確認のみで受け入れている。

加えてドイツに直接関係のない市民活動家、メディア関係者、NGO従事者、文化活動家にも、政府が個別かつ事前に保護が必要と認めた場合は積極的に3年間の「緊急人道在留」資格を与えている。

彼らは通常の条約難民に準ずる保護と支援を受けられるのだ。

現時点での入国者は6000人足らずとのことだが、最終的には50000人程度の受け入れを予定しているという。

さらに、カナダ、オーストラリアなどの主要ドナー国でも、多少の差異はあるものの、全体的な方向性としては上記の国と同じような条件と規模で元現地職員とその家族の受け入れを積極的に進めている。

両国とも、4000〜5000人規模のアフガニスタン人が公的支援の下で新生活を始めている。

では日本は……


驚くべきことに日本政府は、日本大使館かJICAと2021年8月末の時点で有効な直接雇用契約を持っていた現地職員とその家族、あるいは日本のNGO現地職員の場合は本人だけに限定し、「退避対象」としている。
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文=橋本直子 編集=露原直人

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