同社は現在、データ統合自動化SaaS「trocco」や汎用型データエンジニアリングPaaS 「systemN」などのプロダクトを開発・提供している。主力のtroccoは、企業が保有する膨大で多様な種類のデータを自動で統合することで、分析基盤の構築や運用に際してかかるエンジニアの作業工数を大幅に削減するクラウドサービス。18年10月に提供開始して以降、メルカリやリクルート、サイバーエージェントなどスタートアップから大企業まで約200社に導入されている。
SMBCベンチャーキャピタルの中野哲治は、2019年7月のシリーズAラウンドでprimeNumberに投資。なぜ中野は投資したのか。
中野:投資をするうえで個人的に大事にしていることは、「人」として魅力的な起業家であるか。私も含めて周囲の人間を魅了できるかどうかです。そのような起業家は優れたチームをつくり、顧客を口説くことも可能です。
そして、その重要な判断基準が起業家の「声」です。すごく感覚的ですが、これまでどんな人生を歩んできたのか、どんな思いで何を背負っていまの事業をやっているのかといった、その人のまとっている空気のようなものが、声を出した瞬間に発散されると思っています。
例えば、プレゼンをするときに、そのテーマに対してどれくらい深くリサーチしているのか、みたいなことが声に表れるんですよ。
田邊:それは初めて聞きました。
中野:田邊さんの場合は、静かな語り口調のなかに、すごみや気迫が感じられたというのが最初の印象です。もともとデータインフラ系の現場でプロジェクトマネジメントからご活躍されて、役員も経験されてきた方なので、話す内容にも自然とその重みが乗っている。「エンジニアのための組織をつくっていきたい」という言葉がとくに印象に残っています。
田邊:たくさんの人に動いてもらい、チームでひとつの目的を達成するためには、なるべく誤解なく正しく理解してもらうことが大事です。中野さんとの初対面のときにも、わかりやすく説明する、正しい言葉を使うことはすごく意識しましたね。
中野:そのときはtroccoの有用性についてもお話を聞いて腹落ちができて、あとはマーケットが本当にあるのかをしっかりリサーチしたいところでした。
海外のデータインフラ領域のスタートアップ事情を詳しく調べると、米国では予想以上の投資マネーが集まっていて驚きましたよ。同じ環境が日本にも数年後に訪れるという仮説のもと投資検討を進めさせていただいきました。