ビジネス

2022.03.03

データエンジニア「労働集約型」からの解放


田邊: 5GやDXの時代になって、世の中のデータは増えていく一方ですが、企業には昔から運用してきたオンプレミスのシステムがあって、新たにクラウドを導入してと、データ環境が散らばっている状況です。

データを活用するためには、バラバラなソースにあるデータを集めて意図する形に統合していかなければなりません。その労働集約的で非常に面倒な仕事を誰がやるのかというと、多くの企業では情報システム部のエンジニアですよね。ただ、日本はエンジニアの数が足りていない。

そして、企業の情報システム部門は、花形ではなく裏方の存在として見られることが多い。彼らがいないと、その会社の仕事は回らないにもかかわらずです。この状況や環境を改善していくことは非常に意義が大きいし、間違いなく市場に受け入れられていくと思っています。

中野:実際、投資してからスタートアップや東証マザーズに上場しているような新興の大企業がどんどん導入していきましたよね。さらに、この1年でトラディショナルな大企業からもすごい勢いで問い合わせが増えている。明確にマーケットキャップが広がってきた。

田邊:いよいよこのステージにまで来られたのかと感じますよ。データ・イズ・ニュー・オイルともいわれていますが、データ活用の気運が本格化しています。導入数は200社を超えましたが、インフラ系やメーカーなど、非IT系の会社さんの事例を22年初から情報公開して、同じ業界の方々に裾野を広げていきたい。

今後3年で1000社以上を狙っていきます。troccoは日本の法律や商慣習に特化したプロダクトではないですから、海外展開にも早く着手したい。22年にはグローバル版のリリースも予定しています。

中野:このフェーズまでくると、もう僕にできることはあまりないですね。ただ、非IT系の大手は、親会社である銀行のリソースが生かせる領域。いいお取引ができるように、積極的におつなぎしていきます。


なかの・てつじ◎2008年、三井住友銀行入行。法人営業に従事し、数百万円の小口融資から最大数百億円のLBOローンまでを主担当として実行。16年10月よりSMBCベンチャーキャピタルにて勤務。趣味は将棋。

たべ・ゆうき◎慶應義塾大学経済学部卒業後、日本総合研究所にて製造業向けのシステムコンサルティングやプロジェクトマネジメントに従事。その後、インターネット広告企業で事業開発や関連会社役員を経て2015年にprimeNumberを創業。

文=眞鍋 武 写真=平岩 亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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