パーム油のトレーサビリティを確保し、森林破壊を防ぐ!
せりか:Orbital Insight GOの利用事例は、まだまだたくさんありそうですが、一番インパクトがある利用事例は何だとお考えですか。
マイクさん:先ほど紹介した我々のミッションステートメントを物語っているのは、サプライチェーンの把握ですね。大手消費財メーカーのユニリーバは、商品の生産に使われるパーム油の調達先である農園を把握するために、Orbital Insight GOを採用してくださいました。
アブラヤシの実
パーム油とは?
アブラヤシの実から採れる油です。洗剤やシャンプー、歯磨き粉、口紅などの日用品、インスタント麺や菓子パンなどの加工食品に使われています。
パーム油をどこから購入しているかは把握していても、パーム油が生産された搾油工場や、原材料のアブラヤシがどこの農園で栽培されたのかまでは辿れない企業がほとんどでした。それがOrbital Insight GOを使うとサプライチェーンのファーストマイルを把握できるのです!
サプライチェーンの分析結果(c)Orbital Insight
せりか:パーム油の生産量を増やすためにアブラヤシの農園を拡大した結果、森林破壊を招いてしまった地域があると聞いたことがあります……。ユニリーバさんは、日用品や加工食品の生産に使うパーム油が環境に負担をかけていないことを確かめることで、持続可能なものづくりを実現しようとしているのですね。
サプライチェーンを辿るのは難しいと言われているようですが、Orbital Insight GOではどのような仕組みで把握しているのですか。
マイクさん:我々のソリューションの重要な要素は、GPSシグナルを使用して取得できる位置情報と衛星画像を解析するAIのアルゴリズムです。まず、点状になっているGPS位置情報を繋ぎ合わせて、マップを作成します。そこに建物や道路、森林の位置を検出した衛星画像を重ね合わせることで、サプライチェーンと森林伐採の状況がわかるようになっています。
衛星画像を独自のアルゴリズムで解析し、土地被覆分類を行う(c)Orbital Insight
せりか:なるほど。それなら、監視カメラやセンサーを設置しなくてもいいので効率的ですね!
日本の事業規模は世界No.2!初の海外拠点、東京
せりか:ところで、マイクさんは東京オフィスのゼネラルマネージャーを務めているとおっしゃっていましたね。日本でも衛星データや地理空間情報への関心が高まってきているのでしょうか。マイクさん:そうですね。私は本社を設立した2013年から初期メンバーとしてOrbital Insightに参画しています。
2016年の夏にとある日本の企業から「事業について詳しく知りたい」とメールが届いたときのことは今でもよく覚えています。その年の冬に現CEOのケビン・オブライエンとふたりで東京に訪れてみると、衛星画像や地理空間情報を使ったデータ分析にかなり関心が集まっていることがわかりました。
私は家族と一緒にサンフランシスコから東京への移住を決断。そして、アジア太平洋地域の統括責任者兼東京オフィスのゼネラルマネージャーに就いたのです。東京はOrbital Insightにとって初めての海外拠点となりました。日本の事業規模は本社があるアメリカに次いで2番目です。
せりか:2番目! それは驚きました。日本ではなぜそこまでデータ活用への関心が高まっているのだとお考えですか。
マイクさん:イノベーションを起こすこと、デジタル化、新規事業の創出を進めていきたいという意欲が高まっているところに、アメリカ発のテクノロジーに関心が高いことをはじめとする文化的な親和性が融合したことで、日本で受け入れてもらえたのではないかと思います。
せりか:確かに、イノベーション・デジタル化・新規事業の創出は、どれも日本でよくキーワードになる言葉ですね。