当面のゴールは、衛星画像の「毎日更新」
せりか:今後、より多くの方のニーズに応えるために、見えている技術的な課題は何かありますか。マイクさん:お客様からは「より早くデータを提供してほしい」というご要望をいただきます。
Orbital Insight GOはログインすると、1日前の衛星画像が表示されますし、衛星が画像を撮影してから地上でダウンロードするまでにかかる時間は、かなり短縮されてきています。しかし、求められるスピード感はお客様の利用用途によって異なり、当面の目標は毎日データを更新することです。
せりか:ワープスペースが進めている光通信サービスが普及すれば、世界中の衛星画像を毎日撮影してダウンロードすることも、夢ではないですね。
(c)ワープスペース
マイクさん:おっしゃる通りです。私たちは、衛星事業者から衛星画像を購入しています。なので、ワープスペースの光通信を衛星事業者が使うことで、私たちはより早く衛星画像を手に入れられるようになる……つまり私たちは光通信の受益者になるわけです。
特定のエリアの衛星画像を取得するためには「この画像をください」とオーダー(タスキング)を入れなければなりません。それがOrbital Insight GOの画面上で、例えば「明日の東京駅」「2時間後の東京駅」とオーダーするとすぐに画像が取得できるようになれば魅力的だと思います。
せりか:衛星画像のダウンロードにかかる時間が短くなれば、1機あたりの衛星が撮影できるデータ量が増えるので、データの価格は自然と下がっていきますよね。そうすれば、データ活用の裾野は広がっていきそうですね。
最後に日本の宇宙産業やスタートアップ企業に期待していることを聞かせてください!
マイクさん:高解像度の衛星画像を迅速にご提供いただける衛星事業者とは、ぜひ提携させていただきたいと思っています。東京駅など客足が多いエリアの衛星画像は、複数の企業から衛星画像をご提供いただければ、分析できる事柄が増えますから。
せりか:パーム油のサプライチェーンのように、今まで見られなかったものが見えるようになると、私たちの生活も変わっていくかもしれませんね。ありがとうございました!
宇宙飛行士との対談シリーズ第4弾のゲストは、Orbital Insightのマイク・キムさんでした。マイクさんのお話から、衛星データや地理空間情報が、私たちの暮らしに身近な日用品や食品の持続可能な生産に役立てられていることがわかりました。衛星が画像を撮影してから地上に届くまでの時間が短くなっていけば、衛星データ活用の裾野が広がっていきそうです。
次回第5弾は、ワープスペースCFOの北原が登場します。宇宙やディープテックに取り組む現場に求められるダイバーシティ&インクルージョンについて議論する予定です。