ビジネス

2022.01.29 11:00

循環型ホテル「QOアムステルダム」に朝食ビュッフェがない理由

田中友梨
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取り組みが予定通りに進んでいるか確認し、さらなる改善の余地を見つけ、ホテルスタッフや顧客に施策を巻きこめる人が必要です。QOのように、各部門から1人ずつサステナビリティ・チャンピオンを選出して兼務で進めても良いですし、ホテルのサステナビリティ専属の部隊をつくっても良いかもしれません。どちらにせよ、この担当者がスタッフを代表してサステナブルな価値を伝え、生み出すアンバサダーになるのです。

QOの総客室数は288と決して小さくなく、稼働率が高い日は500人以上が泊まります。よって、目の前のゲストに対応することに注力しなければならない日もありますが、グリーンチームのメンバーは業務時間のうちおおよそ80%をフロントなどの通常業務に割き、あとの20%でサステナブルな運営のための審議に時間を使っています。

グリーンチームには自らやってみたいと名乗り出た人に加わってもらうようにしています。

私たちは「サステナブル」を売りにしたホテルです。ここで働きたいと考える人たちはすでにサステナブルなビジョンに惹かれて来てくれている訳ですから、探すのは難しくありません。

長年続く「伝統的」なホテルで急にサステナブルなことをやりたい、といってチームを募っても、同じようにスムーズには進むとは限りません。人はこれまで行ってきたことを変えなければならない時、居心地の悪さや不安感を感じるものですから。よって、循環する仕組みを目指しサステナビリティを全面に打ち出すことは、採用面でも非常にプラスになっていると言えますね。


この記事は、2022年1月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
【参照】QOアムステルダム
【参照記事】 “Global Hotel Decarbonisation Report” (Sustainable Hospitality Alliance)

文 = 西崎こずえ

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