──今回の新リーグ設立の背景として、eスポーツの現在地をどう捉えていますか?
eスポーツ元年と言われる2018年にJeSUが発足し、プロライセンス制度が整備され、高額賞金の大会や国際的、全国的なイベントが開催されるようになりました。他産業の大手企業も参入するようになり、プロを頂点とした競技体系や興行として成立するための環境が整ってきました。
国体の文化プログラムとしての都道府県対抗や高校選手権など、地方や学生の強い基盤ができたり、地域活性化や年齢・性別、障害の有無を問わずに一緒に楽しめるといったダイバーシティの推進に活用されるようにもなりました。
また、一昨年から新型コロナの影響でeスポーツイベントもオンライン化し、配信数、視聴時間、そして視聴者数も増加しました。
数字の面でも「ファミ通」の発表によると、2020年の市場規模は前年比109%の66.8億円、ファン数(試合観戦・動画視聴経験者)も前年比142%の686万人と右肩上がりの成長を続けています。
日本はゲーム先進国、でもeスポーツ後進国
──注目の成長産業というイメージはあるのですが、なんとなく「eスポーツって盛り上がってるんだよね……?」といったもやもやした印象がぬぐえない気もしています。
2021年の弊社調査では、eスポーツの認知率が8割を超えました。また、ソニー生命が実施した意識調査で、中高生のなりたい職業にプロeスポーツプレイヤーやゲーム実況者、クリエイターがトップ10に入るほどの人気を得ています。
当社が施設運営しているeXeField Akibaでもほぼ毎日イベントが開催され、また全国各地で自治体、地域のeスポーツ活動の支援事業を行っていますが、施設開発やイベント運営のお問い合わせ、受注も増えています。前述のとおり、ファンも増えています。
確かに盛り上がっているといった事実、実感はちゃんとあります(笑)。
「中高生が思い描く将来についての意識調査2021」将来なりたい職業(複数回答形式、3つまで)/ソニー生命調べ
ただ、周りに気軽にeスポーツを楽しんでいる存在が多くいるかというと、まだまだです。前述の自社調査でもまだ、eスポーツに「興味あり」と答えた方は16%、「経験あり」は8%でした。
ご存じのとおり、日本のゲームは世界中で愛されており、国内のゲーム人口も約5000万人、全人口の3分の1にものぼります。
でも、eスポーツとなると日本は後進国。あらゆる面でまだ世界に遅れをとっていますが、原因の一つとして、eスポーツを楽しみ続ける環境が不足しているという問題意識を強く持っています。