キャリア・教育

2022.08.04 18:00

問題社員を優秀社員と間違えてしまう評価方法

TierneyMJ / Shutterstock.com

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特に「考慮すべき項目」がある


評価項目を定義してただ羅列するだけではなく、その比重も考えなければいけない、ということは分かりました。では、それができれば完成でしょうか。もう少し考えてみましょう。

例えば、あなたが美容院のオーナーで、今、新しいスタッフを面接しているとします。評価の枠組みをデザインして、“カットの技術”、“カットの知識”、“コミュニケーション能力“、“体力”などの項目を作り、それを定義し、各項目に比重もつけて、それを基に候補者を絞り込んでいるとしましょう。

この中に一つ、他とは違う扱いが必要な項目がある。僕はそう思っています。単純に、比重を重くしたり軽くしたりさえすればいい、というものではない評価項目です。

それは、“体力”。これは前に会社の営業部員の例でも出しましたが、美容師でも、スポーツ選手でも、サラリーマンでも同じ。“出場(出勤)能力”というほうがより正確かもしれません。

例えば病弱だったり、自己管理ができなくていつも遅刻してくるとか、理由はともあれ、平均すると週3日しか来られないという美容師がいるとします。一方で、肉体的にも精神的にもタフで、必ず週5日は元気で働いてくれるという美容師がいる場合、前者はいかに技術や知識がすごかろうが、そもそもの満点の数字、つまりお店への貢献度が後者の5分の3になってしまうわけです。

ですので、
総合点= “技術” ×3 + “知識” ×1 + “コミュニケーション能力” ×2 + ... + “体力” ×3
といった式ではなく、
総合点= “技術” ×3 + “知識” ×1 + “コミュニケーション能力” ×2 + ... )× “体力”
という式であるのが、正しい考え方です。

足し算・引き算ではなくて、掛け算・割り算で考える必要のある項目もある、ということですね。

“将来性”の評価も重要



Photo by Mary DeCicco/MLB Photos via Getty Images

他にも、大抵の場合において考慮すべき重要なコンセプトがあります。それは時間軸。

野球のドラフト会議(新人の選択)でも、あるいは事業への投資においても、“将来性”という考えがありますよね。

現在の価値と将来の価値。これはお互い独立して存在しているので、足し算でも掛け算でもなく、全く別ものとして作る必要があります。

例えば、同業他社を比較してみます...

【業界最大手・A社】
技術部 :現在 8点|将来 6点(ライバルに引き抜かれている)
営業部 :現在 8点|将来 8点(ここは安定)
経営陣 :現在 9点|将来 6点(もうすぐ創業者引退で、次期社長は不安…)
業界規模:現在 6点|将来 8点(今後、市場の拡大が見込める業界)
総合点 :現在 50.4点|将来 51.2点

【スタートアップ・B社】
技術部 :現在 8点|将来 9点(既にA社に負けないくらい)
営業部 :現在 3点|将来 8点(今は営業がすごく弱いが、強化中)
経営陣 :現在 5点|将来 9点(若い社長が、今は経験不足だけど頑張っていて、とても優秀)
業界規模:現在 6点|将来 8点(今後、市場の拡大が見込める業界)
総合点 :現在 31.8点|将来 69.6点

*総合点の算出式は、各項目10点で、(技術部×0.3 + 営業部×0.3 + 経営陣×0.4)×(業界規模×1)の、100点満点とする

今すぐ確実に少額でもいいから儲けたいということであれば、最大手であるA社の株を買ったほうがいいかもしれない。少し長期的に見るであれば、スタートアップのB社に投資したほうがいいかもしれない、という風な評価になるでしょう。

そして当然、この“将来”についても、しっかり定義する必要があります。どれくらいの将来なのか。
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編集=宇藤智子

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