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2021.12.27

データ分析のユニコーンDbt Labsが評価額60億ドルで資金調達へ

Yuichiro Chino / Getty Images

今年6月、データ分析のスタートアップ「Fishtown Analytics」はユニコーンの仲間入りを果たし、社名を同社の人気製品の名称である「Dbt Labs」に変更した。データ市場は、ますますバブルの様相を見せている。

複数の情報筋によると、Dbt Labsは現在、シリーズDラウンドに向けての面談を実施中で、評価額は少なくとも60億ドル(約6825億円)に達する見込みという。1億5000万ドルを調達した前回ラウンドでの評価額は15億ドルで、実現すれば大幅なステップアップになる。

2016年に設立されたDbt Labsは、オープンソースのムーブメントから誕生した企業の1社だ。Dbtとは、“データ・ビルド・ツール(data build tool)”の略で、もともとはFishtown Analyticsの非営利プロジェクトとしてスタートし、ユーザーへのコンサルティングサービスで収益を上げていた。

その後、Dbtのユーザー数が拡大したことを受け、同社は製品の商用化に踏み切った。現在、8000社がオープンソース版を利用しており、1500社がDbt Labsの顧客となっている。

フィラデルフィア本拠のDbt Labsは、2020年4月に初めて機関投資家から資金調達を行って以降、累計1億9200万ドルを調達した。これまでにアンドリーセン・ホロウィッツやセコイア、Amplify Partners、AltimeterなどのVCが同社に出資しており、アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーであるMartin Casadoと、セコイアのパートナー、Matt Millerが取締役に就任している。

「新たな資金調達の機会を模索しているが、まだ意思決定はしていない」と同社はフォーブスの取材に述べたが、詳細は明らかにしなかった。

今回の資金調達は、膨大な量のデータを保存・活用するためのクラウドコンピューティングツールをはじめ、最新のデータスタックを構築する企業に投資家が大きな関心を寄せていることを示している。パンデミックによってデジタルでのデータのやり取りが急激に増えた結果、これまでテクノロジーの導入が遅れていた企業でも大量のデータを生成するようになった。多くの企業が、データ活用において競合に後れを取らないよう、IT投資を拡大している。

データスタックの中核を成すデータウェアハウスソフトウェアで業界をリードするスノーフレイクの時価総額は1000億ドルを超えている。時価総額380億ドルのデータブリックス(Databricks)や、クラウド大手のアマゾン、マイクロソフトも似た製品を開発し競争が激化する中、スノーフレイクの株価は2020年9月のIPO以来、45%上昇した。
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編集=上田裕資

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