今回は縄文時代以降、1万数千年におよぶ日本の歴史を振り返りながら、日本人の世界観や精神性を踏まえ、世界に遅れを取る日本企業が再びグローバル市場で勝ち抜くためにとるべき経営戦略について2回に渡って論じたいと思います。
日本企業が上位から消えた時価総額ランキング
アクセンチュア作成
上に挙げたのは、2000年から2020年までのグローバル企業の時価総額ランキングの変遷を示したものです。この20年でランキング上位から日本企業の名が消え、ソフトウェアビジネスを主体とする米国発のテックジャイアントや巨大な国内市場を抱える中国の新興企業によって占められるようになりました。
前回、グローバルジャイアントはなぜ米国発祥なのかについて論じるなかで、キリスト教の宗教改革が生み出した「プロテスタントの行動様式」が社会に深く浸透している米国文化と、「高度にデジタル化された資本主義市場」との親和性の高さを指摘しました。
では、米国とは文化的背景が異なるわれわれ日本人は、こうした環境下においてどのように振る舞うべきでしょうか。
それを理解するため今回は私が尊敬する日本の歴史、文化、社会に精通した山本七平、小室直樹、松岡正剛、堺屋太一、中沢新一、内田樹先生を始めとする諸先輩方の論考を手がかりに、日本人の特性と行動様式を整理し、日本企業が世界を舞台に輝くための条件を探っていきます。
果たして米国にとってのプロテスタンティズムに相当する、日本人ならではの行動様式は何に根ざしたものなのでしょうか。これから紐解いていきます。
巷にあふれる「日本人論」
突然ですが、皆さんは「日本人らしさ」や「日本人の特性」を問われたとき、どのようなイメージが頭に浮かぶでしょうか。以下は巷にあふれる「日本人論」の例です。
「外来の文物をアレンジし我がものにするのが得意」
「論理的思考に弱く情緒的である」
「横並び意識が強く突出した行動や大胆な決断を避けがちだ」
「他者による言外の振る舞いや、文章の行間、分脈を読むことを求められる」
「自然を畏れつつも自然を敬い尊ぶ気持ちが強い」
「勤勉で創意工夫を厭わず器用。目立たぬ細部にまで徹底してこだわる」
皆さんも一度はこうした日本人論を見聞きしたことがあると思います。むろん、異論もあるでしょうが、こうした自己評価に一定の説得力を感じてしまうのは、程度の差こそあれ「日本人らしさ」の一面を捉えているからに違いありません。
では、こうした日本人の国民性は何に根ざしたものなのでしょうか。その源流を探すと1万年もの長きにわたって続いた縄文時代にたどりつきます。