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Maskot / Getty Images

2021年のホリデーシーズンに入ったいま、米国で小売関連の仕事を探している人は、魅力的な選択肢を山ほど目にしているはずだ。出口が見えない人手不足を背景に、小売業者は驚くほどのハイペースで従業員を雇用し、トレーニングしている。サムズ・クラブなどの大規模チェーンストアでは、最高で時給15ドルという破格の賃金を払っているほどだ。

アクセンチュアはこのたび、小売業界の幹部120人と、1500人以上の消費者に意見を聞くアンケート調査を実施した。その結果から浮かび上がってきたのは、各社が、いま働いている従業員を引き留めるために積極的な手を打っていることだ。こうした引き留め策としては、パートタイムの季節労働者に正社員の地位を提供する、従業員のキャリアアップに役立つ機会を増やす、といったものがある。

小売企業はこうした応急措置により、このホリデーシーズンに必要な人員を確保することは可能だろう。だが、これらの施策は、現在進行中の人手不足を招いている根本的な原因に踏み込むものではない。消費者の需要や従業員の要望が変化していることに、テクノロジーの進歩が加わることで、小売業界は革命的な変化の時を迎えている。

各社は今後、より多様な労働力にアピールすることが必要になるだろう。業界のデジタル化が進み、マルチチャネルな環境に移行しつつあるなかで、各社は、従業員がこうした新たな環境で成功するために必要なスキルを身につける手立てを講じなればならない。小売業界にとって現在は、旧来の人事モデルをリセットすべき時なのだ。

小売企業は、変化の必要性を認識している。アクセンチュアの調査で回答した企業幹部のうち、コロナ禍が始まって以降「従業員の処遇を改善しなければという圧力を感じる」とした者が4分の3近くに達した。さらに、こうした圧力は、従業員から来るものだけではない。消費者の半分近くが、「世界を襲ったコロナ禍の期間中にスタッフを解雇したり、福利厚生を削ったりした小売企業では買い物をしない」と回答しているのだ。

加えて、こうした買い物客は、企業の社会的責任に対する意識の薄いブランドには関わりたくないとの意志も示している。消費者の回答者の約半数が、労働力の多様化に向けた取り組みが不十分な企業とは、ビジネス上の付き合いをしたくないと答えている。

同様に、50%近くの労働者が、自身の雇用主が持つ価値観に、以前より大きな関心を寄せていると回答した。こうした姿勢の変化に押されて、小売企業は、インクルージョン(包摂性)の視点から見た店舗環境の改善、労働力の多様化、企業文化およびイメージの全体的な向上といった取り組みに着手し始めている。

労働条件や企業文化の改善にとどまらず、小売業の働き方自体が、抜本的な変革を迫られている。コロナ禍は、オンラインショッピングや新しい商品配送チャネルへのシフトを加速した。これに対応する形で、小売店は先進的な技術や分析指標を開発し、個人にカスタマイズされたショッピング体験を作り出そうとしている。その狙いは、デジタルとリアルという2つのチャネルの垣根を越えて、消費者とのあいだに強い関係性を構築することにある。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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