小売業界情報サイト「リテール・ブリュー(Retail Brew)」が米調査会社ハリス・ポールと提携し、米国の成人約2000人を対象に行なったアンケート調査では、買い物客の大半がショッピングでの新技術導入を減らすか、現状を維持してほしいと望んでいることが分かった。ショッピングへの新技術導入の増加を望んでいた人はわずか30%だった。
これは、企業にとって何を意味するだろう?
買い物関連の技術に慣れることができない客
店側は、新たなテクノロジーは小売業の未来の姿だと考えているかもしれない。ただ、客の多くはショッピング体験に新技術を取り入れてほしいと言うものの、それが実際に導入されるとすぐには慣れられない。
先述の調査では、客の順応速度には世代によって差があることが分かった。仮想試着室を利用したことがある人の45%がミレニアル世代(25~40歳)だったのに対し、ベビーブーム世代(57歳以上)は2%のみだった。また、ショッピングで拡張現実(AR)を活用したことがある人の42%はZ世代(18~24歳)だったが、X世代(41~56歳)は19%、ベビーブーム世代は1%だった。
現在は一般的なセルフ精算レジなどのショッピング技術も、受け入れられるまでには何年も要した。米国ではセルフ精算が大半のスーパーや大型店舗に導入されていて、これによって買い物が楽になると答えた人は70%に上る。同じことが、最近登場してきた新たなショッピング技術の数々にも当てはまる。
アマゾンは2016年、「アマゾン・ゴー」の店舗で完全自動清算を初めて導入したが、この技術が広く受け入れられるようになるまでには何年もかかった。現在、レジのないアマゾン店舗は数十カ所に存在し、完全自動精算システムはウォルマートやクローガーといった小売り大手やレストランにも拡大した。しかし、ここまで普及するにはアマゾンのような誰でも知っている企業による導入と数年の時間が必要だった。