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ペイパル日本事業統括責任者・ピーター・ケネバン(写真中央)、Paidy代表取締役会長・ラッセル・カマー(同左)、Paidy代表取締役社長兼CEO・杉江陸(同右)

「M&A(合併・買収)ユニコーン」の誕生──。2021年9月、日本のスタートアップ・エコシステムにとって、エポックメーキングな出来事が起きた。米決済大手ペイパル・ホールディングスによる、あと払い決済のPaidyの「超大型M&A」だ。Paidyは同年3月、シリーズDラウンドで、米ウェリントン・マネージメント、ソロス・キャピタルマネジメント、香港タイボーン・キャピタル・マネジメントなど海外投資家から1億2000万ドル(約132億円)を調達。累計資本調達総額371億円、推定評価額が13億ドル、日本で5社目のユニコーンとなっていた。

世界トップティア企業による日本のユニコーンの買収──。「超大型M&A」はどのように行われたのか。現在発売中のForbes JAPAN1月号「起業家ランキング」特集では両社への独占インタビューを掲載している。

──M&Aに至る経緯は。

ラッセル・カマー(以下、カマー):ペイパルとは、19年11月のシリーズCエクステンションラウンドでPayPal Venturesから投資を受けてから、非常に良好な関係を築いてきた。突然はじまったわけではなく、数年かけて互いにリスペクトしながら協力体制を築いた。事業的に非常に相性がよく、世界3位の規模をもつ市場でありながら、特にEC分野でのキャッシュレス化が出遅れている日本には大きなチャンスがあるという意識を共有していた。必ずしも資本関係の話ではなく、お互いが事業成長をするために何ができるか、を話してきた。

それが実現したのが21年4月、デジタルウォレットの支払い方法として「ペイディ」を選択できる新機能「どこでもペイディ」提供開始の第一弾としてペイパルとの連携だった。ペイパルでの買い物やサービスの支払いにペイディが利用できるサービスだ。

ピーター・ケネバン(以下、ケネバン):私がペイパルに入社したのが、2021年4月。ペイパルは20年以降、日本を最重要成長市場のひとつと捉えている。私の任務は、ペイパルの日本事業を10倍に拡大すること。ペイパルは、世界全体で4億以上の稼働口座を持ち、加盟店は3300万に達する、巨大なグローバルネットワークを有している。日本でも10年の歴史があり、越境EC市場ではプレゼンスはあるが、さらに日本市場を拡大し、プレゼンスを獲得するために、ローカル企業と組まなければいけないことはわかっていた。

Paidyは、これから需要が高まるだろうBNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)のなかで、日本市場を深く理解して、日本にフィットした商品、ビジネスモデルや戦略を構築している。それに加えて、ラッセル、陸(杉江さん)をはじめとしたチームがいる。日本とグローバルの両方を理解している海外勢、グローバルな日本人勢の融合している、どこを探しても見つからない素晴らしい組織・チームがあること。この3つの掛け算から、事業面で最適な相手だと思っていた。

杉江陸(以下、杉江): とはいえ、ご承知の通り、私たちはIPO(新規株式公開)に向けた準備をしてきた。上場のため、事業成長、スケールするためにはどうしたらいいか、を考え続けてきた。資本関係について話をしてきたわけではない。(4月からM&Aの動きがはじまったという報道があったが)直前まで私たちは上場するつもりだった。

文=フォーブスジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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