谷本:最後になりましたが、DXに対してのキーワードやメッセージをお手持ちのフリップに書いて解説をお願い致します。
村上:「インクルージョン」と書かせていただきました。これまでデジタルとは無縁のモノリシック(一枚岩)な組織でやってきたところ、デジタル人材を外部から獲得しなくてはならないという企業で、ダイバーシティをしたあとに、いかにインクルージョンしていくのか。一体性を持っていくのかが、デジタルトランスフォーメーションの鍵になるのではと思っております。
加治:「越境し、接続する」です。日立では、海外売上を積極的に上げるという目標値がありますが、国内の狭い中だけで考えているとGDP的成長は、望めないのではと。例えば、アジアに対して越境して接続していく。その部分を考えていただければと思います。
石倉:「新しい事を毎日試す。やめる事は何か?を決める」です。昨日が今日と同じで、明日が今日と同じだと、こんなにつまらない人生はない、というのが私自身のモットー。毎日新しい事を試す。これが簡単に出来るのがデジタルなんです。だからといって、ずっとやってきた事を継続しなくていい。「新しい事とやめる事の組み合わせを考える」。
安宅:大企業の方向けのメッセージなので、書き直しました。「新しい酒は、新しい革袋に盛れ」ということわざがあります。大企業は、300年続いている鰻屋みたいなもの。つまり、何を足しても今までと同じ味になる。でも、それでは創るべき未来は創れない。なので、余力を持って新しい袋をどんどん用意して、「粉々able」化した新しい取り組みをその袋に入れる。そして、それでも残るものが、古臭い習慣が削ぎ落とされた本物の未来へのDNAなのではないかと思います。
撮影:伊藤 淳
谷本:安宅さん。ちなみに、この大企業向けのメッセージの前に書かれたフリップもご披露いただけますか。
安宅:「粉々にする。ガタガタ言わずやる。Doゲリラ!!」。指示を待たずしてやる。くねくね言わずしてやる。文句言わずにやる。そうして「すみません、やっちゃいました」と言って出来たものを持って来たら「素晴らしい。君は素敵すぎる」となるのがデジタルです。なんと言ったって「Doゲリラ!」。これに尽きます。
谷本:村上さんが拍手していますが、その通りですか?
村上:まさにおっしゃる通り! 自分の頭で考えて自分でやれば、責任は上が取りますので(笑)。私自身も大企業の一員なので、この言葉は、心したいと思います。
加治:経団連が、最近、「副業、兼業の促進」というリポートを出したのですが、大企業の方は、是非ご覧になられてみて下さい。具体的な実例も沢山出ていてご参考になるかと思います。私が、最初にファジー化といったお話をさせていただきましたが、そういった流れにも繋がってくるかと思います。
谷本:あと残り1分になって参りました。石倉さん、最後にお願い致します。
石倉:「常に外の世界に触れる。自分がいる世界が全てだと思わない」。つまり、自分が知らない世界では、色々な可能性があって色々な事が起こっているのを認識して欲しいと思います。自分の目で見て、自分自身で試して下さい。
谷本:皆様も、DXを「自分ごと」にして推進していただき、DX時代を生き抜いていただきたく、今日のセッションのパネリストの言葉を明日からの糧にしていただければ幸いです。本日は、ありがとうございました。