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ANRI代表パートナー 佐俣アンリ

「我々が女性起業家を選んでないのではなく、女性起業家が我々を選んでいなかった」

こう語るのは、ベンチャーキャピタルANRI代表パートナーの佐俣アンリだ。ANRIは2020年11月、運用額250億円というシードファンドとして日本でトップ5に入る規模の4号ファンドにおいて、全投資先のうち最低でも20%を女性が代表を務める企業とする投資方針を定めた。国内のベンチャーキャピタルとしては初めての取り組みとなる

起業家や投資家、ベンチャーキャピタルにおける女性比率の低さを改善するための取り組みだが、実際動いてみると、思わぬ発見もあり、新しい世界が見えてきたという。

性別、年齢、有名無名や過去の実績、規模の大小など、社会にあふれる"枠"にとらわれず、よりインクルーシブになるほど、社会はより強く成長できるのではないか。そのために、スタートアップ業界はどう変わるべきか。Forbes JAPANが"30歳未満の30人"を選出するアワード「30 UNDER 30」でアドバイザーを務めた佐俣に、今年のテーマである「インクルーシブ・キャピタリズム」を軸に話を聞いた。


「似た属性の人」の再生産を断ち切りたい


「ベンチャーキャピタル(VC)」という金融のプレイヤーとして、ジェンダーギャップ是正を含む、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は難しいテーマだと思っています。資本は、勝つ人に集中しやすいからです。

特に僕たちはファンドの9割が機関投資家で、言わば投資のプロフェッシナルの人たちのお金をお預かりしているので、高いリターンを早期に出すことが求められています。そういうときに、どうしても資本は「既に成功している人」に吸い寄せられてしまいます。

この結果、投資の世界ではこれまで成功してきたプレイヤーが、自分たちと近しい属性の人間を再生産するような循環を引き起こしています。人間は自分に近しい人を高く評価する傾向にある生き物ですから、男性で、同じような会社出身で、同じような学歴の人の再生産がすごい勢いで起きているのです。

これは、アメリカでも同じです。まったくもって、「シリコンバレーは先進的」というわけではありません。むしろアメリカの方が、人種や性別によってはチャンスがもらいにくい構造になっている可能性もあります。

ANRIでは元々、投資先の女性起業家比率は5%でした。男性である僕1人でスタートしたファンドだということもあり、女性起業家の比率をなかなか上げられませんでした。どうしても、「起業している女性の数が少ないから……」という考えになりがちでした。

ただ、このままでは永遠にジェンダーギャップが解決されることはないなと。自分と似た属性の人を再生産するこのループを、どこかで断ち切らなければいけないと強く思いました。

文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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