ある日、彼らはこれまで培ったテクノロジーをヘルスケア以外の領域に用いることを思いついた。「パーソナライズした医療テクノロジーを農業に用いれば、大きなチャンスだと考えた。土壌には、まだ生物指標が導入されていないことに気が付いたのだ」とFerreroは話す。
2人は2015年にAC-Gen Reading Lifeを売却し、翌年、新たにバイオーム・メイカーズを設立した。バイオームというのは、生物生態学の用語で、ある地域に生息する植物や動物を含む全ての生物のまとまりを意味する言葉だ。
バイオーム社の事業内容は、遺伝子検査会社「23andMe」の土壌版とも言えるもので、土壌の微生物を分析し、農家や企業がよりサステナブルで経済的な選択ができるよう支援している。現在、同社の顧客数は約80社で、大手企業から小規模農家まで幅広いユーザーにサービスを提供している。バイオーム社が構築した土壌微生物のデータベースは、世界で最も規模が大きく、多様だという。
「我々は、新たな種類のデータや指標を農業に導入し、農家の効率性を向上しようと考えた。人類が40年前からやってきた農業のやり方を、この先の40年間続けるべきではない」とFerreroは言う。
カリフォルニア州ウェストサクラメントに本拠を置くバイオーム社は8月25日、シリーズBラウンドで1500万ドル(約16億5000万円)を調達し、累計調達額が2300万ドルに達したことを発表した。このラウンドを主導したのはProsus Venturesで、他にSeaya Ventures、Viking Global Investors、JME Ventures、Pymwymicらが参加した。
Prosus Venturesで米国の投資責任者を務めるBanafsheh Fathiehによると、同社では微生物学やサステナビリティを主要な投資テーマにしているため、バイオーム社への出資は当然の選択だったという。