23andMeの共同創業者兼CEOのアン・ウォジスキは、ナスダックにティッカーシンボル「ME」で上場した会社の株式を9940万株所有しており、17日午後に彼女の保有資産は約13億ドル(約1430億円)に達した。
2006年にシリコンバレー本拠の23andMeを共同創業したウォジスキは、女性起業家としては初めて、SPACとの合併で会社を上場させてビリオネアになった。今年に入り資産10億ドル以上のビリオネアの地位を獲得した女性としては他に、出会い系アプリ「バンブル」創業者のホイットニー・ウォルフ・ハードが挙げられるが、バンブルは伝統的な新規株式公開(IPO)によって2月に上場していた。
23andMeは2月に、伝統的なIPOではなく、VG Acquisition Co.との合併により上場するとアナウンスしていた。データベースのSPAC Analyticsによると、2021年にSPAC経由で上場した企業はすでに343社あり、累計1070億ドルを調達している。
23andMeは、DNA検査キットの販売を事業化しており、唾液サンプルを郵送した顧客らに家系や健康リスクに関するデータを送っている。
しかし、近年、同社の売上は急落し、赤字に陥っている。23andMe の2020年3月から12月までの9カ月間の売上は1億5500万ドルで、損失は1億1700万ドルだった。パンデミック前の2020年1月、同社は全従業員の14%にあたる100人を解雇していた。
23andMeの長期的な成功は、遺伝子検査会社から医薬品開発会社への移行を成功させられるかどうかにかかっている。23andMeは、顧客の遺伝子データから医薬品を作るために、製薬大手のGSKやスペインのAlmirallと契約を結んでいる。また、同社は過去に、自社で医薬品開発を行う予定であると述べていた。
ウォジスキは15年間にわたり23andMeのCEOを務めてきたが、その間に3人の子供を産み、グーグルの共同創業者であるセルゲイ・ブリンと結婚し離婚した。さらに、同社の遺伝子検査の精度に米国食品医薬品局(FDA)が疑問を呈し、サービスの停止を求められた時期もあったが、2015年にはその疑惑を払拭し、サービスの再開を果たしていた。
一部の医師は、同社の検査の信頼性について懐疑的な見方を崩していないが、それでも23andMeは検査キットの販売を止めていない。顧客の80%は、自分の健康データが新薬の開発に使用されることに同意しており、同社は膨大な遺伝子データを実質的に無料で、新薬開発に使用できることになる。このデータベースこそが、23andMeの将来の成長を支えることになる。