組織の成長とともに、起業家自身も成長し続けることが不可欠である。生き馬の目を抜くような競争環境の中で、スタートアップとして頭一つ抜け出す両氏の考える「リーダーシップ」について語り合う。
前編はこちら>>ビジョナル X マネーフォワード 2精鋭経営者の「失敗に学ぶ力」「問いを立てる力」
組織を成長させる「リーダーシップ」とは?
マネーフォワード 辻庸介氏(以下、辻):大事にする言葉や価値観が組織によって違うのと同じで、リーダーシップも人によって様々だと思いますが、僕は、「すごくデカいビジョンを描けること」がリーダーに求められることの1つだと思っています。「ここに行きたいな」「こういう世界つくりたいな」と思えるような、みんながワクワクするビジョンを掲げることですね。
もう1つは、「最後まで残ること」ですかね。会社はいい時も悪い時もあるじゃないですか。平時は問題ないんですが、有事はやっぱり混乱が起きます。船から降りようとする人も出るし、船の進む方向が信じられないと突き上げられたり、違う船に乗りたいと言われたりするわけです。
でも、リーダーは逃げられない。逃げるべきではないと思うんです。
だから、僕のリーダー像は、どんな豪雨や嵐で船が転覆しそうになっても、船上で最後まで旗を立て続ける人。その人がいることで、まだ大丈夫だと周囲を安心させられるのが、本当のリーダーシップだと思います。その覚悟があるかですよね。社長だけでなくて、各事業の責任者も含めてですけれど。
ビジョナル 南壮一郎氏(以下、南):僕にとってリーダーシップの本質を表す言葉として「願い」というものがあります。
リーダーシップとは、「こうありたい」という未来を願う気持ちがあるかどうか。この願いに仲間が集まってくるし、その仲間から願いがさらに芽生えていく。その繋がりこそが、仲間の絆を強め、願いを実現していく原動力だと思います。
Visional社長 南壮一郎
この願いが具現化した1つの形が事業であり、ビジネスモデルであり、理念ではないかと思います。会社のもつ願いに向け、みんなが一枚岩になり、共通の目的に対して改善しながら前進していくことがビジネスの本質ではないでしょうか。そしてリーダーの一番の役割は、願いを絶対に実現することを仲間と約束して必ず実現すること。この約束を果たす覚悟が、辻さんの言っているリーダー像に近いと感じますね。