世代で言えば、僕ら世代も先輩起業家が切り開いてくれた土壌の上で起業させてもらったという認識もあります。まさに楽天の三木谷さんやマネックスの松本さんなどがいたからこそ我々がいるし、さらにもう一世代上まで遡ると、ソフトバンクグループの孫(正義会長)さんやエイチ・アイ・エスの澤田(秀雄会長)さんの存在にも感謝しています。
これは、今後も時代を経て続く、起業家による壮大なタスキ・リレーなのかもしれません。だからこそ、僕もタスキを繋いでいきたいという思いはあります。タスキをどのように繋いでいくべきなのか、何を伝えていくべきなのかはまだ全く分かっていないので、その解を見つけるために、日々努力しているのかもしれません。
辻:僕たちが受けたそれ以上のものは次の世代に伝えていかなければ、世の中良くなりませんからね。
起業家は、時に競争相手になったりすることもあるけど、基本的にみんな仲が良いんですよ。世の中を前に進めるんだ、みたいな本質では意見が一致しているので。であるなら、互いの知識を共有して、進化のスピードを上げていくのはすごく理にかなっているんです。
だから、色々な情報を公開するのも躊躇しません。「あまり情報をオープンにしない方がいいのではないか」と言う人もいますけど、オープンにした方が絶対に社会が前に進みます。結果的に、その方がリターンも大きい。
ソニーのようになるには
南:以前、父に「いつ結婚するんだ?」と聞かれたことがあったので、なぜそんなことを聞くのか問い正したら、その答えがなるほど、と思えるものでした。
いわく、父が親として子に求めているものは2つあると。1つは、社会人として自立している姿を見ること。もう1つがユニークだと思いまして「自分の子供がその子供をどう育てるのかを見たい」と言うんです。それが、自分自身の子への教育の成果を確認する方法であり、答え合わせだと考えていると。
辻さんと僕が言っていることも、それに近いかもしれません。マネーフォワードやビジョナルで育った若い力が、その後どのように社会へインパクトを与えていくのかを確認してみたいということも、僕らが今頑張れている原動力の一つなのかもしれない。次の世代が育つ場として、マネーフォワードやビジョナルが存在するなら、会社としての存在意義はあるし、みんなで会社を「もっと成長させないと」とも思えるじゃないですか。
辻:そうですね。次につなげていくのも大事だし、我々が目標になるように大きくならないと。ソニーみたいな、世界から尊敬を集める会社になっていかないとダメですよね。次の人にアセットを残せないので。僕たちもっと必死で頑張らないと。
南:世代を代表する大きい会社になると言えば、ある時、夢を見たんですよ。ビズリーチとユーザベースとマネーフォワードとSansanがみんなで一つの会社になる夢を。めちゃくちゃ面白い会社になるのではと。翌日みんなに連絡して、素晴らしい名前も決めて提案したんです。
「ユーザーリーチ・フォワードsan」というものだったですけど(笑)。みんなからあっさり、名前も、一緒になる提案も却下されました(笑)。
辻:笑。でもわかんないですよ。将来は誰も予想できないですから(笑)。