ビジネス

2021.07.20 06:00

ペロシ下院議長の夫が活用する株式投資術「LEAPS戦略」の旨味


今回の取引はインサイダー情報に基づくものではないが、ペロシは一連の取引で莫大な利益を得た。ペロシがオプションを取得したのは、新型コロナウイルスのパンデミックで世界の金融市場が打撃を受け始めた2020年2月27日のことだ。この日、アルファベットの株価も下落し、終値は1314ドルだった。

ペロシがアルファベットの検索と広告事業の将来性に強気であったことは明らかだ。彼は、満期日が約16ヶ月後のオプションを少量購入した。オプション取引では、トレーダーはオプション料を支払うことで、あらかじめ定められた期日までに対象会社の株式を特定の価格で100株購入する権利を取得できる。オプション取引は、安い価格で多くの株式に対するエクスポージャーを持つことができる方法だと言える。

ペロシは、アルファベット株のオプション取引で大儲けをした。彼が支払ったオプション料は数十万ドルに過ぎないが、2020年3月に発生した株式市場の世界的な大暴落を乗り切ると、2021年にアルファベットの株価は40%上昇したのだ。

開示資料によると、ペロシは他の取引でも大きな利益を上げたことがわかる。彼は、2021年2月20日にマイクロソフトに関する権利行使価格140ドル、満期日が2021年3月のコールオプションを100枚購入した。マイクロソフトの株価が下落すると、彼は権利行使価格130ドル、満期日が2021年3月のオプションを150枚追加購入した。満期日を迎えた頃には、マイクロソフトの株価は75%上昇し、230ドルになっていた。

ペロシは、オプションを使ってローコストで少数の巨大テック企業の株式に対するエクスポージャーを持ち、12〜16カ月後の満期日に売るというLEAPS戦略(権利行使期日までの期間が長いオプションを売る戦略)を採用しているようだ。

彼は、半導体大手のエヌビディアやアマゾン、アップルに対しても同じ戦略を取り、既に利益を上げている。

編集=上田裕資

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