ビジネス

2021.07.19 09:00

ラッパーのエイサップ・ロッキーが「Klarna」に出資する理由

右)クラーナCEO セバスチャン・シェミャートコフスキ 左)ラッパー エイサップ・ロッキー (C)KLARNA

右)クラーナCEO セバスチャン・シェミャートコフスキ 左)ラッパー エイサップ・ロッキー (C)KLARNA

スウェーデンに本拠を置く「Klarna(クラーナ)」は、従業員数4000人、評価額310億ドルに上るヨーロッパ最大の非公開フィンテック企業だ。出資者には、ソフトバンク、ジェネラルアトランティック、ブラックロックなどが名を連ねる。

クラーナは、後払い式の決済サービスを顧客に提供しており、自社の決済技術を利用する販売店からの手数料で収益を上げ、短期間のうちに大きく成長した。そしてこのほど、クラーナは新たな出資者として、ラッパーであり、デザイナー、プロデューサーでもあるエイサップ・ロッキー(ASAP Rocky)を迎えた。ロッキーは、2016年にフォーブス「30アンダー30」の表紙を飾った人物だ。

現在32歳のロッキー(本名ラキーム・マイヤーズ)は、「クレジットシステムに対するクラーナのアプローチは、革新的なものだ。人々の金融リテラシーの向上に役立つ」とコメントしている。

“おかしな歴史”の新たな一章に


クラーナの驚異的な成長に加えて、ニューヨークのハーレムで育ったロッキー自身の経験が、同社への投資の動機となった。ロッキーが指摘するのは、低所得層の人々にとって、特に利子付き学生ローンの支払いが困難である点だ。

「結果的に借金を増やすことになる。学生ローン、米国内国歳入庁(IRS)、バンキング、クレジットなどの問題に対処するのを助けてくれるシステムは存在しない」と語るロッキーは、クラーナを世界規模の「レイアウェイ(layaway)プラン」(商品の頭金を支払い、残金を後払いする購入方法)と表現する。


Getty Images

今回の動きは、ロッキーが言うところの、ロッキーとスウェーデンをめぐる「おかしな歴史」に新たな1章を加えるものだ。

ロッキーは2019年8月、ストックホルムで行われたコンサート後のいさかいにより、暴行容疑でスウェーデン当局に拘留されたのち、釈放され米国に帰国した。当時のドナルド・トランプ大統領がツイッターでロッキーの釈放と帰国を訴えたこともあり、拘留は国際的に大きな非難を呼んだ。

今回、スウェーデン最重要企業のひとつに出資して同国との関係を修復したロッキーは、クラーナのスマートフォンアプリを通じて、アップサイクルとビンテージをテーマとするファッションコンテンツをキュレーションする予定だ。
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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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