凸版印刷と東京五輪 終わりなきダイバーシティの旅


2013年にオリパラが東京で開催されることが決定した頃、パラリンピックに向けての機運が高まる、ある出来事が社内で起きた。

「仕事をしながらプライベートで競技を続けていた社員がいて、東京2020大会を目指して練習に専念するため退職を考えているという話がありました。そういったオリンピック・パラリンピックを目指す社員が競技と業務を両立できるようにサポートするため、またスポーツ振興にも貢献したいという想いから、2014年に“スポーツ専従社員制度”を導入したんです」(大川氏)

凸版印刷が東京2020大会のオフィシャルパートナーを目指すことになったのは自然の成り行きだったのかもしれない。


凸版印刷株式会社スポーツ事業開発室事業推進部長の大川誠氏

パラスポーツの面白さを独自メディアで普及


「オフィシャルパートナーになるにはどうしたらいいのかを考え始めたとき、そもそも我々自身が十分にスポーツを応援できていないことや、パラスポーツがまだまだマイナーであることなどに気づいたんです。そこでまず、日本障がい者スポーツ協会(現:日本パラスポーツ協会)のオフィシャルパートナーとなり経済的な支援を始めました。それ以外に、何か自分たちにできることはないかと考えてスタートしたのが『SPORTRAIT(スポートレイト)』というウェブメディアです」(大川氏)

「SPORTRAIT」は、パラスポーツを普及させるために凸版印刷が制作運営しているオウンドメディア。通常はクライアントの要望に沿ったメディアを作成することを生業としている同社が、自社運営のしかもパラスポーツ普及のための専用サイトを開設したということは、発表当時に話題を呼んだ。

「サイトを作る際に考えたのはパラスポーツの面白さを伝えたいということ。パラスポーツの迫力やスピード感をどうしたら多くの人に伝えられるかということを第一に考えました」(大川氏)

これをきっかけにサイトを運営している若手社員たちがパラスポーツに興味を持つようになり、アスリート、コーチやエンジニアなどの支援者、競技ルールなどの情報を多面的に発信し、やがて社内、世の中へとその面白さが伝わっていった。そして2016年、凸版印刷は正式に東京2020大会のオフィシャルパートナーとなった。


凸版印刷が運営するパラスポーツ応援WEBマガジン『SPORTRAIT(スポートレイト)』
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文=濱中香織(パラサポWEB) 写真=四十物義輝 企画協力=日本財団パラリンピックサポートセンター

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