夢を形に。鎌倉インテルの「みんなの鳩サブレースタジアム」ができるまで

鎌倉インターナショナルFCオーナーの四方健太郎氏 (c) Kazuki Okamoto(ONELIFE)

鎌倉インターナショナルFCオーナーの四方健太郎氏 (c) Kazuki Okamoto(ONELIFE)

夢は形になる。

ひとりの頭のなかで始まった夢が、わずか4年でひとつの大きな実を結んだ。

「鎌倉インテル(正式名称:鎌倉インターナショナルFC)」は、神奈川県社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ。日本のトップリーグであるJリーグ1部(J1)から数えると8つ目のカテゴリー、いわば「J8」という「底辺」のクラブである。大きな組織をバックにするわけではない市民のクラブだが、なんと、自前の「スタジアム」を完成させた。

古都・鎌倉市の北部にある深沢地区に10月17日、「みんなの鳩サブレースタジアム(通称、鳩スタ)」がオープンした。約1億円の建設資金のうち、どうしても足りない3000万円をクラウドファンディングで集めて、完成にこぎつけた。神奈川県を代表する銘菓である「鳩サブレー」の豊島屋にネーミングライツを引き受けてもらったが、「みんなのスタジアム」は、文字どおり市民の力で形になったものだ。



湘南モノレールとのパートナーシップにより、「鳩スタ号」が運行開始し、最寄駅の駅名看板が鳩スタオリジナルデザインに


「タイミングと縁」で鎌倉に


夢を抱いたのは四方健太郎さん。シンガポールで人材育成会社を営む42歳のビジネスマンだ。大好きなサッカーで国際的な交流や人材育成ができないかとサッカークラブの創設を思い立ったのが2017年。本人曰く「タイミングと縁」に恵まれ、翌年1月には鎌倉で「鎌倉インテル」を始動した。

最初の活動に参加したのは1人。それがいまでは、トップチーム30人、サテライトチーム30人(ともに神奈川県リーグ2部所属)、生涯スポーツの「シティ」(鎌倉市リーグ所属)40人、ジュニアスクール80人、そしてスタッフやアドバイザーなど60人、合計240人という大所帯となった。


横浜市出身、シンガポール在住の四方さん。なんと建設監督もリモートで行うなど、コロナ禍で帰国がかなわなかったが、オープン時には入国制限が緩和され、10日間の隔離を経て駆けつけた
次ページ > 早ければ2024年までの「暫定的な土地活用」だが──

文=大住良之 写真=みんなの鳩サブレースタジアム 編集=宇藤智子

タグ:

連載

Forbes Sports

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事