World Restaurant Awards審査員

「チョコレート・ジェムズ・フォー・サステナビリティ」

「サステナブル」とは、いうまでもなく「持続可能な」という意味。その言葉が馴染み深くなるにつれて気付くのが「サステナブルをサステナブルに」していくことの難しさだ。

WFF(ワールド・フード・フォーラム)によると、現在、私たちは世界中の人々の食事をまかなうための十分な食料を生産しているにもかかわらず、7億人が飢餓で苦しんでいて、コロナ禍でその人数は増加しているという。

そんなニュースを見聞きするに連れて、何かをしなくては、と思うけれど、何をするのが一番適切なのかもわからない。忙しい毎日の中で、それを1から調べようとするほどの時間も取れない。心の中で「何かをしなくては」と、呟きつつ、小さなトゲが刺さったような思いを抱えて日々過ごしている人も多いのではないだろうか。

美食×ロスフード


そんななか、「私たちの毎日の小さな行動で、世界を変えることだってできるんです」と、手の届く解決の糸口を示すのが、フードロスバンク代表、山田早輝子氏だ。

「例えば、日本国内で廃棄される食料は、国連などが世界で援助している食料の1.5倍。例え、海外への直接的な援助ができなくても、このロスをなくしていくことが、世界の食料不足に対するアクションとなります」

山田氏は、長年アフリカ支援などのチャリティに関わる中で、結果が見えづらい遠い国に対して、一方的に募金やボランティアという時間的な貢献を続けることの難しさも感じてきた。それならば、目の前の課題をまず解決し、それが世界に広がっていくことが、より継続しやすく、多くの人が関わりやすい「サステナブルなチャリティ」になると考えたのだ。



特に、食は命をつなぐ根幹でもあり、誰もが関わりのあるもの。そんな視点で世の中を見回して山田氏が気づいたのは、コロナ禍での外食産業の一時休業や宴会などの減少で、余剰食材となってしまった食材の存在。調べると、日本では形の揃った食材が求められるため、元々余分に作付けし、形の良いものだけを選び、残りは捨てられてしまうことも多いと知った。

大量生産、大量廃棄の農業は、行き過ぎた化学肥料や農薬の過剰使用にもつながり、それも地球への負担になる。こういった食材を無駄にしない世の中への提案をしていけないか。

そこで「持続性、循環性、多様性」を3つの柱に、昨年10月に設立したのが「フードロスバンク」。コロナ禍での余剰食材や、見た目などの理由で弾かれてしまった「ロスフード」と呼ばれる食材の価値を、高級レストランとのコラボレーションで変革しようという取り組みだ。NPO法人ではなく、あえて会社形態にしたのは「活動からきちんと収益が出て、継続できることを示すロールモデルにしたい」からだ。

文=仲山今日子

サステナブル
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