これら数々の取り組みに国連が賛同し、フードロスバンクに加え、同じく山田氏が代表を務める日本ガストロノミー学会が、国連WFFの依頼を受けて、共同で動画「Masterclass for a better food future」を作成。サステナブルな日本各地の取り組みを「日本モデル」として紹介する全6エピソードが、9月25日にニューヨークで行われる「国連食料システムサミット」の関連イベント、さらに10月1日からローマで行われる「WFFウィーク」でも上映される。
エピソード1ではアマランテ氏とファンティン氏、エピソード5では里山を守る成澤氏の取り組みをフィーチャーするほか、辻調理師専門学校校長の辻 芳樹氏の「未来につなぐ料理哲学」、三つ星レストラン「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフの「食の生態系」などが紹介される。
食べることは、世代に関係なく行えるアクション。WFFウィークは特に、若者主導のムーブメントを起こし、次の世代にもサステナブルにこの考えをつなげていくことに重点を置いている。
フードロスバンク代表の山田早輝子氏(左)とブルガリ・イル・レストランテ・ルカ・ファンティンのルカ・ファンティン氏(右)
「とはいえ、決して難しく考える必要はありません。家族や友達など身近な人の手助けをして、笑顔が返ってくると、幸せな気持ちになりますよね? 私たちが普段何気なく行っているそんな幸せの循環が活動の本質です。さらに視野を広げれば、私たちは地域、日本、世界、果ては宇宙の一員でもあります。私たちの一人ひとりの食を変える小さな輪が、世界を変える大きな輪につながっていけば」と山田氏は語る。
フードロスバンクの「バンク」には、ひとりひとりのそんな小さなアクションを積み重ね、蓄えていくことで、世界をより良くしていくことができるはず、という願いが込められているという。
「私の最終的なゴールは、このフードロスバンクが必要とされない世界がやってくること。きっとその頃には次の社会的課題が生まれてくるでしょう。そうしたら、次はその解決に邁進したいと思っています」