さらに6月には、「ブルガリ イル・チョコラート」と共に、ロスフードを使ったボンボンショコラ「チョコレート・ジェムズ・フォー・サステナビリティ」を作成。
ブルガリはコロナ禍において、医療機関に最先端の3D顕微鏡を寄付したり、消毒用ハンドジェルの生産・寄付を行うなどの活動も行っており、日本でも自社のレストラン、イル・リストランテ ルカ・ファンティンのエグゼクティブシェフ、ルカ・ファンティン氏自ら、医療従事者にお弁当を作り届けるなど、積極的な社会貢献を行ってきた。
普段から、厨房で無駄を出さないよう配慮しているというファンティン氏。今回は、「フードロスの現状を多くの人に知ってもらうためにも『思わず誰かとシェアしたくなるようなものは何か』を考えて、チョコレートに決めた」という。
「日本には、『もったいない』や『おまかせ』など、既に世界で知られている言葉があります。例えば、世界でも“Omakase”として通用しているコースは、その日の最上の食材が食べられる贅沢であると同時に、食材を無駄にしないというもの。こうした日本古来の考え方は、そもそもエコです。私たちが、同じ意識を持つ人々と共に声を上げていくことで、もっと未来は明るくなるはず」と語る。
食材は、ヘタが取れてしまったなどの理由で出荷できなくなってしまった柑橘「湘南ゴールド」を使うなど、ロスフードを活用。チョコレートも、児童労働を撤廃し、生産者の生活環境向上などに取り組む企業のものを使用するなどエシカルを意識している。
箱にもメッセージを織り込んだ。昭和初期には100軒あまりの工房があったものの、現在はただ1軒が残るのみになってしまった佐賀県の手漉き和紙「名尾和紙」を使い、飲食業の一時休業などを受けて出荷先が減少している花卉農家の花を漉きこむことで、より広く「取りこぼさない」啓蒙や支援につなげた。ブルガリではサステナブルな支援のために、今後も毎年6月にこのチョコレートボックスを限定発売する予定だ。
こういったハイブランドとのコラボレーションの良さは、「やらなくてはならない」という堅苦しい使命感ではなく、「楽しむ」ことが社会貢献につながるという、「参加したくなる仕組み」を作っていることだろう。さらには、無駄を出さない、地球環境に優しい消費をすることが、「新しいラグジュアリー」なのだという価値観の提案にもつながっている。
7月下旬には、里山の豊かな恵みを料理で表現し続けている、東京・青山のミシュラン二つ星「NARISAWA」の成澤由浩氏が、フードロスバンクとコラボレーションしたテイクアウト「ありがとうBENTO」を発売予定。山田氏は、今後コロナ禍が収束しても、ロスフードとなってしまった食材とレストランをつなぎ続けていくという。