ベゾスはウィルクの退職時に、以下のようなコメントを発表している。
「彼のような『師』に出会えただけでも幸運だった。彼には多くのことを教わった。それはわたしだけではない。彼はわたしたち皆にとって得難い教師だ」
そのウィルクに、シリコンバレーで活躍する起業家であり、企業グロースエキスパートであるジェームズ・クーリエ(James Currier)がインタビューした。アマゾンを強大な企業へと押し上げたそのオペレーションについて、初期の意思決定について、以下、ウィルク自身に振り返ってもらおう。
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「精査されていないデータは必ず間違っている」
「メカニズム」という語はアマゾンでは常に、「プロセス」の代替語、あるいは同義語として使われる。アマゾンではメカニズムとは、取り入れるべきツールであり、プロセスを意味するのだ。だから、社員にはそのツールやプロセスをきちんと理解してもらうことが私の仕事でもあった。
だが、一番大事なのは、定期的にそのツールやプロセスを点検して、意図したとおりに使われているか、改善の余地はないかを確かめることだった。
改善の余地があるとわかったら、改善し、新しいやり方が取り入れられるようにしなければならない。
一見簡単そうに思えるが、この数十年の経験から、さまざまな会社が生み出したツールやプロセスの多くは遅かれ早かれ、次のふたつの「故障モード(機能障害を引き起こした不具合)」によって、軌道を外れてしまうことがわかった。
1.すでにそんなことをする理由はとっくになくなっているにもかかわらず、10年間も依然として同じプロセスを採用し続けている
2.もっとひどい場合だが、いつの間にか変容して「無価値なもの」に姿を変えてしまったかつては非常に必要だったプロセスを、こつこつと勤勉にたどり続けている
それはプロセスをこなす人たちのせいではない。むしろプロセスそのものを精査しなければならない。これは最適なやり方か? きちんと機能しているか? かつてのように今でもデータは正確か?
精査されていないデータは必ず間違っていると言われる。とくに「アマゾンプライム」のような事業では、プロセスの精査を欠かさないことが優れたオペレーションには不可欠だ。