この国際デーで焦点が当てられている暴力には「女性や男性、女子、男子に対して行われ、(時期的、地理的、あるいは因果関係により)紛争に直接的、あるいは間接的に関連しているレイプや性的奴隷制、強制売春、強制妊娠、強制中絶、強制的な避妊手術、強制結婚やその他、同等の深刻さを有する性的暴力」がある。
2008年に採択された国連安全保障理事会決議1820号の記念日として、6月19日が選ばれた。同決議は、性的暴力を戦争の意図しない影響としてではなく、戦争における兵器として初めて認めたものだ。レイプや性的暴力は、いまだに包括的な対策が実施されていない一種の「パンデミック(世界的大流行)」と言える。
性的暴力は、被害者を傷つけ辱めることを目的とした戦争の兵器で、これだけでは語り尽くせないものだ。
紛争地帯で続くレイプと性的暴力
エチオピアで、少数民族ティグレ人の女性に対し行われているレイプと性的暴力は、ティグレ人コミュニティーを破壊するためのジェノサイド(民族大量虐殺)の一方法として考えられている。
報道によると、犯罪者らはティグレ人の女性をレイプ・集団レイプし、その後女性の体にひどい損傷を加えて妊娠できないようにしている。被害女性らは犯罪者らから「ティグレ人女性は決して子どもを生むべきではない」と言われたと報じられている。
カメルーンの英語圏地域では、女性が武装した分離主義者や軍隊、民間人によりレイプや性的暴力の対象となってきた。同地域を無法地帯と化した紛争は、5年目に突入しようとしている。
同国では、女性がこうしたさらなる残虐行為から保護されないまま被害に遭いやすい状態が続いている。国連の記録によると、同地域で2020年2月から12月の間に発生したレイプや性的暴行、性に基づく暴力は約4300件だ。2021年1月から3月の間のレイプと性的暴力は500件近くで、性別に基づいた暴力は500件ほどだった。
シリアでは2014年8月、3000人近くのヤジディ教徒の女性や子どもが過激派組織「イスラム国(IS)」に誘拐され、その後奴隷にされたままだ。こうしたヤジディ教徒の人たちは、まだ生きていれば今でも、レイプや性的・身体的虐待を受けている可能性が非常に高い。こうした女性たちは、早急に救い出されなければならない。
またイラクやミャンマーでは、レイプや性的暴力の被害者に対し十分な医療支援が提供されておらず、被害者らは何年も前の苦しみを追体験し続けている。
さらに、こうした数字には紛争地帯以外でのレイプや性的暴力が考慮されていない。中国の収容所に入れられたウイグル人女性らがその例だ。