紛争下でのレイプや性的暴力、もう一つの「パンデミック」に

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こうした性的暴力のまん延に対しては、より良い未来が待っているという希望を苦しむ被害者に与えられるような奇跡的なワクチンや治療法が存在しない。国際的な法的義務や国連決議、任意の誓約などがいくつか掲げられてきたにもかかわらず、こうした犯罪は今でも続いている。

現在の状況を鑑みると、こうした犯罪を撲滅することは非常に困難だと考えられる。しかし、こうした犯罪を抑止し被害者を支援するため実践できるステップはある。

まず、こうした犯罪を犯した人は自らの行為を裁かれるべきだ。ISの犯罪者らはレイプや性的暴力を行ってきたにもかかわらず、レイプや性的暴力、ジェノサイドではなく主にテロ関連の罪で訴追されている。

この対応により、レイプや性的暴力、女性や少女の痛み、苦しみは重要ではないという恐ろしいメッセージが示されてしまう。当然、こうしたアプローチを採用している現在の法律に問題がある。

夫婦間でのレイプは犯罪ではなく、妻を罰することは可能だと教えられている社会では、ヤジディ教徒の女性などに対して行われている暴力など、女性や少女への残虐行為を可能にするイデオロギーが増大するだろう。女性は夫からあらゆる種類の暴力を受けてもよいのだという認識を撲滅するには、このような点に対処する必要がある。

こうした残虐行為の被害者には、レイプや性的暴力による体や心の傷への包括的な支援だけでなく、つらい出来事を乗り越えて、恐ろしい体験により破壊された生活を再建する支援も与えられるべきだ。レイプや性的暴力を受けた女性は誰しも、苦しみを一人で抱えて歩くべきではない。

レイプや性的暴力のまん延は、当然のこととして受け入れられてはならない。状況が一晩で変化することはないだろうが、小さな一歩を踏み出していくことはできるし、今こそそうすべきだ。

翻訳・編集=出田静

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