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World Restaurant Awards審査員

恵比寿「レクテ」が開発したノンアルコールペアリング

東京をはじめ、国内各地で出ている酒類提供の自粛要請は、コロナ禍に苦しむ飲食業界に追い討ちをかけているのは間違いない。しかし、苦境にありつつも、アルコール飲料の代わりに、ノンアルコールでのペアリングを開発する店が増え、新たな料理の楽しみ方も生まれつつある。

ファインダイニングと呼ばれるレストランでは、この期間にどう対応し、ゲストらはどう反応しているのだろうか。ミシュラン選出の人気店、日本を代表する美食家に話を聞いた。

「皿の外のソース」という考え方


国内で早い時期からノンアルコールペアリングに積極的に取り組んできたのが、東京・外苑前で、川手寛康シェフが率いるモダンフレンチ「フロリレージュ」だ。ミシュラン二つ星の同店は、今年3月に発表されたアジアのベストレストラン50でも7位にランクインするなど、海外での評判も高い。

料理は、国産のトリュフなど希少な和の食材も取り入れ、パンは酒粕の入ったふんわりとした蒸しパンを使うなど、フランス料理の骨格の中に日本らしさを取り入れた独創的なスタイル。また、経産牛の持つ旨味を生かした料理など、サステナブルなアプローチでも知られる。

同店が本格的にノンアルコールのペアリングを始めたのは2017年。店舗を現在の場所に移転したタイミングで、ノンアルコールが広がりつつあるヨーロッパなど海外からのゲストを意識してのことだった。



役割としては「皿の外のソース」のような位置づけで、料理の構成要素に寄り添う作り方。日本のカツオ昆布出汁、コールドプレスジューサーで絞ったフレッシュフルーツジュース、中国茶や緑茶などをブレンドし、料理に合わせて提供。ほうれん草の茎など食材の端を使うこともあり、フードロスを減らすアプローチにもつながっている。

「通常のカクテルはアルコールで骨格ができるが、ノンアルコールカクテルはより繊細に味のバランスを取る必要がある」(川手氏)と手間のかかるもので、料理と同じように細心の注意を払って味や香りの構成を考えている。

フロリレージュは、オープンキッチンを客席がコの字型に囲む劇場型のレストラン。皿の上の料理のみならず、食体験をトータルで楽しんでほしいという川手氏の思いは、ドリンクのプレゼンテーションにも表れている。グラスにハーブを美しくあしらったり、日本酒の升で提供したり、「次に何が出てくるのだろう?」と、目でも楽しめるワクワク感もあり、ノンアルコールだからといって物足りなさを感じることはない。



これまでも客の15%ほどがノンアルコールペアリングを頼んでいたが、酒類提供自粛により、ゲストの約半数がオーダーするようになったという。よりフロリレージュらしい独創性が楽しめると、あえてノンアルコールペアリングを頼むゲストが今後も増えていきそうだ。

文=仲山今日子

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