いま活動を通じて、伝えたいことは?
確かに法的義務化によって企業は対応を求められている訳ですが、言葉が先行して、何かしなければならない、配慮すべき、という感情や行動になってしまうことはなんとしても避けたい。
私たちパラサポが伝えたいのは、障がいのある人に対して戸惑ってしまうこともあるかもしれないけれども、「合理的配慮」は皆さんの日常生活の中にすでにあって、例えば家族や友人に対しては自然にできているということなんです。
「やらされているので」このサービスを提供します、障がい者を受け入れます、というような社会には本当にならないでほしいと思います。
Photo by Yuichi Yamazaki/Getty Images
「合理的配慮」から得られるもの
東京2020パラリンピックをきっかけに、多様な人がいることを知り、街のバリアフリー化などハード面での変化を感じている人も多いかもしれません。
またコロナ禍において、これまで多くの選択肢から色々なことを選択できていた生活がままならなくなり、自分たちの日常でできること・できないことの中から何を選択するのかを考える機会が増えたのではないでしょうか。
今度は、こうした気づきを実際に仕事や地域、社会に落とし込む番です。
合理的配慮への取り組みを通じて、サービスを受ける人、施設を使う人、働く人の顔を思い浮かべながら行動を変えていくと、実は自分にも良い影響があることをきっと感じられると思います。
そして障がいのあるなしにかかわらず、一人ひとりの違いを認め、みんながより多様な選択肢を持つ共生社会が、“健常者”にとってもよりよい社会であるという実感を深めてほしい──。
そんな気持ちを込めて、合理的配慮そしてD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進活動に取り組んでいます。
山本恵理◎パラ・パワーリフティング選手。女子55kg級日本記録保持者。先天性二分脊椎症による車いすユーザー。仕事と競技の両立を目指し、日本財団パラスポーツサポートセンターでは、障がい理解の事業を担当。みんなが前向きになれる共生社会とはどんな社会かを考えられるきっかけを与え、笑顔マックス、パワーマックスの合言葉通り、聞いた後に受講者が元気になる講演を続けている。