アーバン(都市型)スポーツは、東京オリンピックでの盛り上がりを上手く維持・拡大している競技として、筆頭に挙げられるのではないだろうか。若い日本人選手たちの活躍がもたらしたこの新鮮なカルチャーへの期待や関心の高まりは、大会レガシーの一つとも言われている。
2018年、19年以来の開催が期待されていた3月の「FISE HIROSHIMA 2022」は新型コロナ等の影響で中止になってしまったが、4月にZOZOマリンスタジアム(千葉市)で日本初開催された世界最大の国際大会「X Games」は3日間で4万人を動員。また、6月にも6種目の世界的プレーヤーが参加する「YOKOHAMA URBAN SPORTS FESTIVAL 2022」の開催が横浜赤レンガ倉庫で予定されている。
(c) X Games Japan 組織委員会
スケートパークを核とした、笠間市の取組
そんなアーバンスポーツに東京2020大会前から着目し、2021年3月に競技エリアだけで4500平方メートルという全国屈指の専用施設「ムラサキパークかさま」を完成させたのが、茨城県笠間市だ。スケートボードの五輪種目採用決定を受け、2018年度からこのスケートパークの整備計画をスタートさせた。
五輪直前にはホストタウンに登録された関係で、アメリカを含む複数の国から事前キャンプの打診があった。ご存じのように、大会もキャンプもコロナ禍の影響を大きく受けたが、フランスチームが事前キャンプを実施した。フランスはオリパラの新しいモデルを提唱するという「パリ2024」でも柱の一つにアーバンスポーツを掲げており、ホストタウンレガシーとしても、今後の国際交流が期待される。
ムラサキパークかさま (c) ムラサキスポーツ
オリパラ後の「磁場産業」として期待
笠間市がアーバンスポーツに着目した最大の理由は、高齢化が進む地方都市に若い世代を呼び込むためだ。
アーバンスポーツは、技を競うという点において「体操競技」と似ているが、大きく異なるのは何と言っても、そこに音楽やファッションなどの若者文化(もしくはストリート系の下位文化)が色濃く反映している点にある。
自己表現が重要な要素であるため、選手の服装は自由(ユニフォームやゼッケンなどは着用しない)で、審判員もカジュアルな服装で参加する。ブレイキンに至っては、競技前に審判員が選手の前でダンスを披露し、ジャッジする(に値する)力量を見せるなど、伝統的なスポーツの常識にとらわれない自由な雰囲気がある。