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国連環境計画(UNEP)が発表した2021年の食品廃棄指標によると、日本の家庭から出る年間の食品廃棄物の合計は815万9891トン、1人当たりの推定食品廃棄量は64キログラムで、中国、インド、米国といった大国に次いで世界第4位という結果だった。日本の「フードロス」問題は、世界基準で見るとかなり深刻であることが分かる。

こうしたなか、レストランを運営する会社とアカデミアの産学連携により開発された「肉や魚に巻くことで保存期間を安全に延ばし、旨みも増す」という魔法のような「エイジングシート」が注目されている。これまではto Bをメインに展開されてきたが、4月22日からクラウドファンディングのキャンプファイヤーで一般消費者向けの「発酵力 オイシート」を販売開始する。

サステナビリティが重視される現代社会において、フードビジネスの雛形たり得る製品と言えそうだが、初めはフードロスとはまったく違う目的で開発されたのだという。エイジングシートを製造販売するミートエポック代表、跡部美樹雄氏に話を聞いた。


明治大学教授と共同開発 目的は──


レストラン運営およびフードコンサルティングを行うフードイズム代表の跡部美樹雄氏と明治大学農学部教授の村上周一郎氏は、肉や魚を短期間で熟成することができる「エイジングシート」を共同開発、2017年9月にリリースした。これに伴い、跡部氏、村上氏は同製品の安定的な製造販売を目的とした、明治大学発ベンチャー「ミートエポック」を設立した。

熟成肉専門店も運営する跡部氏は、当時「安心、安全かつ美味しい熟成肉を作るにはどうすれば良いか」と考えていた。そこで、微生物の専門家である村上教授に相談をもちかけたのがきっかけだったという。

「従来の熟成肉を作る方法では、自然浮遊している菌を利用して約100日という長期間を要し熟成させるため、良い菌も悪い菌も付着してしまいます。そのため、悪い菌がついて食べられなくなった肉を、場合によっては半分程も削ぎ落とすことになります。また、劣化・腐敗した部分が残ってしまえば、最悪の場合には食中毒を引き起こす可能性もあります」(跡部氏)

このように、手間や無駄が多くリスクも高い熟成肉だが、上手くできたものは旨みが濃縮され、ミルクやナッツに似た芳醇な香りを放ち、口溶けも良い最高の肉になるのだと跡部氏は言う。

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ミートエポック代表取締役、跡部美樹雄氏

取材・文=長谷川 寧々 編集=石井 節子

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