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2020年5月、無印良品が日本のオンラインショップで新開発のコオロギせんべいを発売したところ、その日のうちに完売となった。消費者からの予想外の反応に、同店を運営する良品計画は販売を一部の実店舗にも拡大したが、すぐに売り切れになる状況は依然続いている。

無印良品の成功は、日本の消費者のあいだで昆虫食に対する関心が急速に高まっていることを表している。日経TRENDYが発表する「2021年ヒット予測ランキング」でも、コオロギ食品が5位にランクインした。市場にはさまざまな昆虫食が出回り、大都市では昆虫食の自動販売機まで出現している。

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無印良品のコオロギせんべい(55g入り190円)の原料はコオロギパウダー、じゃがいも、コーンスターチ。現時点では、アメリカでの販売予定はない(写真提供:良品計画)

なぜ、日本で昆虫食が急にはやりだしたのだろう?


食用昆虫の市場は数年前から拡大を始めており、無印良品がそのブランド力で一気にメインストリームに押し出した。

2013年、国連食糧農業機関(FAO)が、迫りくる食料不足への対策として昆虫食を提唱する報告書を発表した。また2018年には、EUが昆虫本体、あるいは昆虫を原料とする食品を“新食品”と定義し、昆虫を食料として扱うべきだという公式見解を示した。

そういったニュースが流れると、すぐに日本の先見の明ある起業家たちが昆虫を使って独創的な商品を生産する会社を立ち上げた。TAKEO(2014年)、バグモ (2018年)、バグズファーム(2018年)などである。

昆虫食でスリリングな体験を


そうした企業が生み出した市場には特徴がある。「昆虫食を健康的で持続可能な代替物と見る欧米と違い、日本の消費者は、昆虫を食べるという目新しくてスリリングな体験を友だち同士やSNSでシェアすることに価値を見いだしている」と、TAKEOのCTO(最高技術責任者)で食用昆虫科学研究会の設立メンバーでもある三橋亮太は言う。

たとえばTAKEOの人気商品タガメサイダーは、グリーンアップルに似たさわやかな香りを持つタガメの雄性フェロモンのエキスを使ったサイダーだが、東京にあるTAKEOの実店舗ではこれをカクテルにして提供している。16オンスカップに入ったタガメサイダーにレモングラスとタピオカをあしらい、上にサクサクした歯ごたえのタガメ一匹を載せることで、自然のなかで生きる虫を表現したという。

すでに、多くのメディアやSNSに取り上げられている。客層の中核はいままで昆虫食を食べたことがなかった20代から40代、つまりSNSを頻繁に利用する年齢層だ。

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昆虫食品のリーディングカンパニーのひとつ、TAKEOはタガメを丸ごとを使ったオリジナルカクテルを提供(写真:Forbes JAPAN 東京駅で開催された「虫グルメフェス」より)

翻訳・編集=寺下朋子/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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