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デジタルをテコとした成長戦略

AI導入のポテンシャルが高い日本の取るべき道/photo by shutterstock.com

2021年は昨年につづき、人々も企業もコロナ禍をいかに生き抜くかがトップアジェンダとなることは間違いありません。一方で国内には、少子高齢化による労働力人口の減少やOECD各国の中でも低迷している労働生産性の改善のための取り組みなど、いわば「足元の課題」が依然として横たわっています。

G7(先進7カ国)中、生産性において50年間連続最下位*1の日本は、このまま衰退していくのでしょうか。産業における国際比較の指標の1つ「GVA」(総付加価値)の調査によると、2035年までに英米豪やヨーロッパ各国はそれぞれ1.0〜2.6ポイントでの成長が予測されている一方、日本は0.8ポイントという低成長が見込まれています。しかし「AIを活用した場合」というシナリオで潜在的な成長性を描き直すと日本は2.7ポイント。実に3倍以上*2となります。

*1 公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2020」/*2 AI導入成功の方程式 | アクセンチュア

この5年間、私たちは日本中の経営者の方々と「事業成長のためにAIをどのように活用するか」について議論を重ね、現場で実装し、具体的な活用事例を作り続けてきました。アクセンチュアの調査によると2019年時点でも、日本企業の経営幹部の77%が「AIを積極的に導入しなければ業績低下のリスクがある」*3 と考えていました。日本では産業界全体でAIおよびデジタル化を経済再生の切り札と捉えているのです。

*3「アクセンチュア最新調査――77%の日本企業が、人工知能をビジネス全体で活用しなければ著しい業績低下の可能性があると認識」

・日本はAI活用による潜在的経済効果が高い

〜企業がAIを最大活用した場合とそうでない場合の、経済成長への影響の差が約3倍と各国に比べて大きい〜

2035年の各国のGVA成長率(GDP成長率にほぼ相当)の比較
GVA世界比較のグラフ
GVA(総付加価値・生産者により生産された商品・サービスの価値から原材料費など生産費を引いたものの合計)出典:アクセンチュアおよびフロンティア・エコノミクス

2021年のテーマ「責任あるAI」


2020年、人々の関心の中心は健康と医療、そして新しい生活様式にどう適応していくかでした。人々の関心に応えるようにヘルスケア分野でのIT活用も進み、オンライン診療やAIによる画像診断の普及は医師の業務を効率化し、患者にとってもメリットが大きい進歩といえるでしょう。スマートウォッチに搭載された心拍数などバイタルデータ測定機能が、生活習慣病の改善や突発的な発作からの救命に役立った、というニュースも聞こえてきました。

また、これまでマーケティングを中心に活用されてきた行動履歴データが、感染症拡大防止目的で使われるなど活用範囲が広がることで、プライバシー侵害からいかにしてユーザーや社会を守るかというテーマへの関心も急速に高まったのが2020年の特徴です。

たとえば昨年、IBMやAmazon、マイクロソフトは「捜査のための顔認証技術の利用」を相次いで停止した件を私は特に注意深く追っていました。2021年はこの傾向がさらに進み、AIや、AIに関わる開発者や研究者に突きつけられるテーマは、倫理観や社会的責任へとシフトしていこうとしています。つまり「責任あるAI(Responsible AI)」が問われる1年となります。

文=保科学世(アクセンチュア)

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