ニューノーマルの到来とAI
これまで社会はパンデミック(疫病の感染爆発)によって急激に変化したことが歴史的にも明らかになっています。19世紀のコレラの流行で公衆衛生の考え方が広まり、100年前のスペイン風邪は統計学の発展にも影響を与えました。2003年のSARS(サーズ)がECの普及と浸透を後押ししたように、新型コロナウイルスもリモートワークを中心とするニューノーマルといった社会変革を起こしています。
直接会えなくても、デジタル技術を介して「会う」ことが普通のことになるなど、社会のデジタルシフトが急速に進み、あらゆる社会的活動がデジタル上で動き出しています。リモート会議ツールによる画面越しの商談、オンライン研修などはビジネスパーソンに広く使われるようになりました。
そうしたデジタル化は、「膨大なデジタルデータの蓄積」という副産物をもたらします。2010年代後半に議論が白熱したビッグデータの活用を思い出すまでもなく、かつてないほど多種多様かつ大量のデータを使える時代です。しかし人力だけでデータを分析するには時間がかかりすぎます。データの扱い方・分析処理の仕方を学習させたAIを使って、データを「資産」として利用しようとする企業が飛躍的に増えているのはこのためです。
その一方で、2020年は「AIには“できないこと”がたくさんある」という理解が深まった1年でもありました。「AI万能論」を信じていた人は元々多くないと思われますが、最近は特にAIの限界が露呈し、広く知られるようになりました。
「責任(レスポンシブル)」はAIにおける最重要のテーマです。責任は関係者の信頼を獲得し、それを厚くしていくために必須の要素です。導入しようとしているAIの安全性、透明性、説明責任の確保は、AIを企業のコア部分に組み込むうえで今後は不可欠となるばかりか、企業自身の倫理的フレームワークの再設計を促進させます。
具体的なケースとしては、グーグルフォトが起こした「黒人の写真に『ゴリラ』というタグ付けを行った問題」や、アマゾンの「採用支援AIが男性を優位に評価した問題」がしばしば引き合いに出されます。AI運用においては偏り・バイアスのある学習データや、データが少な過ぎて精度が高まらないことでAIが誤った判断を下すことがないよう、責任ある運用が求められます。
「責任あるAIとは?」英語のみ
経営を支援し、現場業務の“力”になるAI
アクセンチュアでは先述のような「日本企業におけるAIへのニーズ」の高まりを受け、3つの観点で取り組みを強化しました。
1)AIを活用したサービスの拡充
2)社会課題の解決につながるAI活用
3)効果的にAIを取り入れるためのビジネス変革支援体制の強化
その具体例が、プレスリリースやメディア記事でも紹介されている「AI Hubプラットフォーム」です。ユーザー企業が必要とする多種多様なAIを最適な組み合わせで利用することを可能とするためのベース(基盤)です。
世の中には人による対応や判断で成り立っている仕事がたくさんあります。「AI Hubプラットフォーム」を使って、経営、マーケティング、営業、コールセンター、在庫管理、サプライチェーンといった業務を迅速化・効率化する「AI Poweredサービス」も拡充しました。このサービスを活用することで、人は人にしか出来ない高度な、あるいは繊細さを必要とする業務に専念できます。